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観察、仮説、検証のデザインサイクル for イノベーション【イノベーションマネジメント2-2】

イノベーションマネジメント、二つ目のテーマとしてイノベーションを進めていくときのプロセスの話をしています。本日は第2回目、実態に近いプロセス論です。

目次

イノベーションマネジメントの基本的なプロセス

まず前回確認した基本形から。イノベーションマネジメントの過去の研究が提示していた基本的なプロセスとしては、4段階モデルであるということを前回はお話しました。

まずは、機会発見。市場調査したり技術に当たったりしながら、ビジネスとしての機会を発見する。こういうふうな製品サービスが生み出せるじゃないか、こういうことをやったらうまくいくんじゃないかといったような機会を発見するのが第1フェーズ。

第2フェーズは、アイデア創出。発見した機会に対して、具体的な製品サービスの形など、ベーシックなアイディアを整えていくフェーズ。

そして第3のフェーズは、それを製品化、実際に形に組み上げていく開発のフェーズです。同時に、市場調査なんかをして、お客さんを見つけていったり、どういうビジネスモデルにするかの基本形を考え出すフェーズ。

そして第4には、実際に製品やサービスを売り出し、事業化をして、きちんと採算が取れるところに載せていくという事業化のフェーズ。

この4つのフェーズが基本モデルでした。

そして、かつてはウォーターフォールモデルと言われて、これを順繰りに一つずつ確実にこなしていくことで、手戻りなく戻ることなく一直線に先に進んでいくというのが基本形として提示されていました。

しかしながら、現実社会は不確実ですから、イノベーションの過程というのはとても複雑。市場の状況が変化し、技術も変化していく中で、かたちを少しずつ固めていく。現実はウォーターフォールでは進まなくて、手戻りをしながら修正をどんどんどんどん入れながら少しずつ進んでいくというのが現実のプロセスでした。それはウォーターフォールモデルが登場した当時から指摘されていたんですが、これがほどなくして理論化される。

現実には小さく試して仮説検証していく

1980年代から各産業で、いろんな言葉で説明されるんですが、小さく試して仮説検証を回していく、このプロセスが大切だというふうに言われるようなんです。

イタレーション

IT産業では、イタレーションなんて言い方をします。

イタレーションとは繰り返しという意味ですけども、同じものでも少しずつ修正しながら繰り返していく中からどんどんどんどん修正していく。

アジャイル

あるいは近年はそれをアジャイルなんて言い方をします。

アジャイルというのは、素早いという意味ですけどもまさにこの素早く細かく試していくアジャイル的なプロセスなんて言い方をするんですけれども、これも要するに仮説検証を回していきましょうという発想です。

デザインサイクル

デザインサイクルというのは、デザイン思考という考え方に基づくもので、これも近年のこの新製品開発やサービス開発で、取り入れられてる考え方なんですけども、デザイナーさんのものの進め方を導入してみましょうというのがこのデザインサイクルというものでして、デザイナーさんという人はやっぱり1個の家をスケッチを描き出すのに何千枚と紙を使っていくということから、これもうどんどんどんどん情報をインプットしながらそれを吐き出して、何度も何度も吐き出しながら答えを探していくこれをデザインサイクルなんて言い方しますね。

PDCA

ビジネス界ではシンプルにPDCAとプランドゥーチェックアクション、計画を立てて実行してみて、チェックをしてみて是正をするアクションする。

このPDCAサイクルという表現も使われます。

プロセスオーバーラップ・プロトタイピング

また学術界では、これをプロセスオーバーラップとか、プロトタイピングなんて言い方をします。

これはちょっと後で出てくるのでここでは説明しませんで、このプロセスオーバーラップとかプロトタイピングというのが、アカデミア、大学の世界でこういった現象に名前をこのようにつけていたりします。

何にせよちょっと長くなりましたけれども、結局私が言いたいことは同じ小さく試して正解を探していくこの過程がうまくいく秘訣だっていうのは、こんにちではかなりの程度いろんな業界で共有されている知見になってるんです。

プロセスオーバーラップ

で、ここでは学術理論としてのプロセスをオーバーラップの用語で説明します。

プロセスオーバーラップという言葉は、「何度も試していく」という過程は、チャート図で書けば、先ほどの四つのフェーズが重なって戻りながらジグザグしていく過程として描けることから、チャートが重なっている(オーバーラップする)図として表現されるためです。

昔であれば、フローチャートで書くならば、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3、フェーズ4と、綺麗にわかれていたものが、フェーズ1も続くし、フェーズ2も重なって続くし、フェーズ3もオーバーラップしながら続く。フェーズ4も重なりながら進んでいく、このプロセスが重なっているというところを捉えて、オーバーラップという表現を使ったんです。

1980年代よりオーバーラップが大切なのではないか、とされるようになってきました。すぐれた起業家をイメージして下さい。機会発見をしながらも、彼・彼女は、その中から自然と、アイディアまで生み出してみようとする。さらには、そのアイディアに沿って製品開発をちょっとやってみちゃおうともするかもしれない。最初から、このフェーズ2フェーズ3を前倒しさせて、オーバーラップさせる。

アイディアまで生み出したところで、このアイディアで合ってるかどうかを実際に合ってるかどうか市場に確認する。使える技術は、こういう技術が使えるかどうか、テクノロジーの方も確認するという形で、この機械で合ってるかどうか機械発見のフェーズにも戻ったりする。

製品開発をぱっと簡単にプロトタイプを作ってみて、試作品を作ってみて、それでアイディアが正しいかどうかを確認するアイディアが間違っていれば、アイディアの段階に戻ってもう1回アイディアを練り直すという形で、製品開発の進んでももう1回そこから機械としてビジネス機会としてこれで合ってるかとか、アイディアはこれでいいのかというところまで戻っていく。

そしてそこからまた情報を得て、再び製品開発をしていくという形でぐるぐるぐるぐる回しながら進んでいくわけです。

そして事業化というところまで触れていませんでしたが、あるタイミングでそこそこ出来の良いプロトタイプが出来上がってきたら、そのプロトタイプをもって事業化を進めます。

ファーストカスタマー、つまり最初のお客様を見つけ出して、その人との契約を進めていって、最初の売り上げを立てる。

よしこの売り上げが立ったんだからこれを土台に次のお客さんを狙っていこうという形で事業化も早々に進めるという形で、オーバーラップさせてるわけですね。

しかしですよ、この事業化がうまくいったなと思っても、それが本当に最適な市場かわからないので、ここからは後ろ方向に伸ばしてオーバーラップさせてるわけです。

事業化できたからもう機械発見とかアイディアこれでいいというふうに止めるんじゃなくて、他のビジネスチャンスあるかもしれない他のビジネスアイディアがあるかもしれないということで、今度は後ろ方向にもプロセスを終わりにしないで伸ばしてあげることによって、まだまだ他のビジネスの可能性他のアイディアが出てくる可能性、そこから新しい製品を生み出せる可能性を残すわけです。

こうしたわけで、前方向にも伸ばすし、後ろ方向にも期間を延ばしてあげることによって、ビジネスチャンスを拾う確率を高めてあげる。

これがプロセスオーバーラップという発想になるわけです。

デザインサイクル

で、このプロセスをオーバーラップをうまく進めていくための小さな回し方の話として、ここで鍵になってくるのが、デザインサイクルという考え方ですね。

先ほどもお話しましたけれども、これはデザイン思考という名前で呼ばれるデザイナーさんの仕事の仕方という形で確立されているサイクルです。

こんにちでは、このデザイン思考という考え方がこれまで学者が研究してきたイノベーションマネジメントのポイントを見事に的確に表現している、実践的なアプローチとして、学術的に紐づいたものとしてみられるようになっています。このデザインサイクルというものがイノベーションマネジメントの中で語られるようになっています。

その鍵になってくるのがこのデザインサイクル、まさにデザイナーさんの仕事のやり方の基本サイクルですね。

オブザベーション観察

オブザベーション(Observation:観察)から始まる。現場現実を観察する。クライアントさんから情報を収集する。どういう商品が求められているのか現実の状況を調べていく。そういうふうに調べていく中からアイディアを得ていく。

アイディエーション

次のステップをアイディエーションという言い方をします。アイディエーションでも、このアイディアってのも正解のアイディアを作ろうっていうんじゃなくて、仮説を立てようと、これが正解なんじゃないのかという仮説的な正解をつくる。

これで決定版を作るわけじゃないんですね。

仮説的な正解を仮置きするというふうにアイディア出しを位置づける、そしてそのアイディアに沿って実際に現物を作ってみる。

テスト・プロトタイピング

これはプロトタイピングとかテスティング(テスト)という言い方をします。

テストをしてみる、実際にそれでぱっと簡単にカジュアルにお金もかけず時間もかけず簡単に作ってみて、それを実際にクライアントさんに見せてみるお客さんに見せてみて、

お客さんの反応を試してみる市場で受けられるかをチェックしてみる。

駄目だったら駄目でいいわけです。

駄目だったらそこで得られたインプット、再び自分の観察をもとに修正のサイクルをもう1回回せばいいわけです。

こういう形で、もうこれが正解と打ち出してしまうのではなくて、正解を探して何度も何度も試してみる。

この試す回数が多ければ多いほど正解に近づくというのは科学的に明らかになっています。実証的にもそっちの方がうまくいくっていうことがこれまでの研究で明らかになっているんですけど、理論的にもこっちの方が成功しやすいことは明らかになってるんです(後述)。

プロジェクトの初期段階から決めすぎない

ここでポイントは、プロジェクトの初期段階から「よし、もうこれで確定」と決めすぎないことです。

事業機会はこれで確定、アイディアこれで確定、製品はこれで確定、ターゲットとするお客さんこれで確定、事業化のビジネスモデルこれで確定、確定確定確定…で固めてしまうと、それがハズレだった場合には致命傷を負ってしまう。プロジェクトの初期は決めようとしすぎない、収束を図り過ぎないというのが大切になってきます。

一方で発散をし続けていけばいいというわけではなくて、あくまで正解探しなんです。

アイディアを飛ばすのは大切なことなんですけれども、結局のところそれはお客様にとって良い商品。自社のビジネスを上手くさせるうえでプラスになるアイディアじゃないと問題なわけですから、その意味では発散させすぎてもいけない。

正解の方向を絞り込んでいくことを原則としながら、アイデアを飛ばすんです。

もうちょっと考えよう、それだけではやっぱりゴールが見えないので、あるところでは決める。決めすぎない、収束させすぎるのも問題だけども、一方で発散させすぎて終わりが見えなくなってしまっては、いつまでたっても終わらないので、アイディア出しについてはこれぐらいまでに決めようか、製品の形についてはこれまでに決めようかというように、一応終わりを決めて、終わりまでは十分に発散させて、しかしその期日が来たら次に進むこの発散と収束のバランスが大切です。

ちなみに実務的なことを言っておきますと、今が発散しているときなのか、収束しているときなのかは明確にしてあげるとよい。今は発散してるときだとリーダーが思っていても、メンバーは収束してるときだと思っていたり、その逆だったりすると、チームに不和が生じてしまったり混乱が生じます。ですから、チームの中ではプロジェクトチームの中では、今は発散すべきときだ、今は収束すべきときだ。そこの意思統一をしていくと良いってことも、皆さんにお伝えしておきたいと思います。

プロセスオーバーラップ

ゴチャっとしましたけれども絵で描くとこういうことです笑。

機会発見という活動の中でも、このサイクルを回す、観察し、アイディアを生み出しテストをする、そしてそのテストの結果から再び観察フェーズ情報収集フェーズに戻っていく。

このサイクルを機会発見についても細かく回し、その成果を次のステップのアイディア創出に行ったとしてもこのサイクルを回し、製品開発も細かくこのサイクルを回し、事業化でもサイクルを回す。

この一つ一つの活動の中でも回せば、活動間でもオーバーラップしながらやっていく。

という形でとにかくひたすら情報を集め続け、アウトプットし続け、それを市場に当てたりお客さんに当てたり有識者に当ててフィードバックをもらい続ける。

ひたすらインプットとアウトプットを激しくやり続けて正解を探していくというのが、今日的なイノベーションのプロセスになってくるわけです。

事業の成功は確率的事象である

たくさんインプット・たくさんアウトプットする重要性

どうしてこのたくさんインプットし、たくさんアウトプットするこのプロセスが大切になっていくのかです。

その理論的な説明は、ビジネスの成功、とりわけこういう新しいものの成功は、確率的な事象であると、ここにポイントがあるんですね。

トランプカードみたいなもの、何十枚もカードがある中から正解を1枚しかない正解を引き当てるようなゲームだというふうに考えるんですよ。

世の中でよく言われるように、新しいビジネス起業や新事業の成功というのは、10%いかないと言われるわけですよ、数多のチャレンジの中から1個しか正解がないんだとしたら、これはもう確率的なんです、絶対成功するなんて学者にも誰にも言えない誰し、誰1人、ベンチャーキャピタリストだって孫正義だって事業の成功ってのを確信持っているかっていないんです。

なのでそういう人たちはたくさんカードを引くんです。

1枚引いて正解を引くなんて無理だと正解はどこにあるかわかんないんだから、たくさんカードを引くべきでしょう。

ですから、このどの機械を狙うかどのアイディアがいいのか、どういう製品の形、どういう製品サービスを形にするか、全ての面においてカードをたくさん引きまくった方がいいんだっていうことになるわけです。

失敗の中から正解を掴む

こんな状況を指して、日本を代表する偉大なる経営者の1人である柳井正さん、ユニクロ、ファーストリテイリングの社長会長として知られている人ですけれども、彼はこういう表現をするんです。

ビジネスってのは基本的に失敗の中から正解を掴むものなんです。

1勝99敗ですよ私は。

この考え方ですよ、これが実は成功する起業家に共通してみんな持ってる考え方なんです誰しも失敗の経験があるんです総務浅尾さんにしても前澤友作さんにしても、みんな失敗の中から積み重ねた失敗の中で1個正解するもんなんだってことをみんな知ってる。

なので誰しも納得するのがこの柳井正さんの1勝99敗という言葉、失敗のカードを引いたって、そのカードが失敗だってわかったってのはやっぱ前進なんですよ。

ずっとその失敗を握りしめてるのは絶対にダメ。ぱっとそのカードを捨てて、次のカードを引く。それが、アジャイルだったり、デザイン思考だったり、ここで言ってるプロセスオーバーラップだったりするわけなんですよ。

というわけで、ぜひですね、これはイノベーションにチャレンジする世の中に新しいものにチャレンジしようと思ってる人は、これすっごく重要なことなので、どうか本当にこの柳井正さんの1勝99敗の言葉を胸に、多くの情報をインプットし、たくさんアウトプットしていくたくさんチャレンジする仮説検証のサイクルというものを、どうか心に留め置いてもらいたいと願ってます。

著者・監修者

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