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補完財とは?代替財との違いを具体例付きでわかりやすく解説(ジレットモデルの具体例付き)

目次

補完財とは

補完財(Compliments)は、ゲーム機本体にとってのゲームソフトのような、一方の需要が増えるともう一方の需要も増える関係にある商品を指し、消費者行動の理解や戦略立案に役立つ重要な概念の1つです。

動画でも補完財の解説を行っています!

”補完財”という概念が活かされるシーン

  1.  消費者行動の理解
    補完財の関係を把握することで、消費者が一方の製品の需要が増えると、もう一方の製品に対する需要も増えるという消費者行動を理解できます。
  2. 価格設定戦略
    補完財の関係にある商品がある場合、企業は相互の価格設定やプロモーション戦略を最適化することができます。
  3. プロダクトポートフォリオ
    補完財を理解することで、企業は自社の製品ポートフォリオを拡大し、収益を最大化するための新たな製品組み合わせを見つけることができます。
  4. 市場分析
    補完財を把握することで、市場の動向や競合他社の戦略をより正確に分析し、適切な対策を立てることができます。
  5. 経済政策
    補完財の概念を理解することで、政策立案者は税制や規制に関する判断を行う際に、補完財間の関係性を考慮した効果的な政策を策定できます。

これらのベネフィットにより、補完財の概念を理解することは、消費者行動の予測やビジネス戦略の立案、経済政策の策定において役立ちます。

補完財の具体例

  • パンにとってのジャム
  • PCにとってのインターネット
  • 料理調理器のヘルシオにとってのレシピ集
  • ゲーム機本体(ハード)にとってのゲームソフト
  • コーヒーにとってのミルク
  • 髭剃りのジレットにとってのカミソリの刃
  • 髭剃りのジレットが初めて採用したことで知られる。本体を安くして普及させ、消耗品のほうで収益を上げるビジネスモデル。プリンタなどで広範に採用されている。
  • 本体と補完財に商品を分けることができるかどうかが、このビジネスモデルを使えるかどうかのポイント。
  • 近年では定期購入型のサブスクリプションに近いものも登場している。

代替財とは

代替財とは、他の商品やサービスと入れ替わりやすいものを指します。これらは、消費者の要望を同じように満たすため、競争関係になります。

価格や性能、品質、便利さなどで選ばれることが多く、価格が高くなると、消費者は安い代わりのものを探すことがあります。

代替財と補完財の違いは、お互いの関係性です。代替財は競争し合うもので、補完財はお互いを助け合うものです。若いビジネスパーソンは、市場での製品やサービスの立ち位置や競争力を理解し、適切な戦略を立てるために、代替財と補完財の考え方を把握することが大切です。

自社用の補完財が他社製品でも使えてしまうと、他社製品がより強い代替財となり、利益を取りこぼす可能性がある

代替財の具体例

  1. 電気自動車(EV)とガソリン自動車
    環境への配慮や燃費などの違いがあるものの、どちらも移動手段としての機能を果たしています。
  2. iPadのようなタブレットとMacBook Airのようなノート型パソコン
    タブレットは軽量で持ち運びが楽で、ラップトップは機能性が高いですが、どちらもインターネットを利用したり、文書作成などの作業を行うことができます。
  3. 飛行機と鉄道
    長距離の移動手段として、飛行機は速さが魅力で、鉄道は景色を楽しむことができますが、どちらも目的地への移動を実現します。
  4. 有料動画配信サービスとテレビ放送
    どちらもエンターテイメントを提供しており、視聴者の好みや利用状況によって選択されます。
  5. スマートフォンとデジタルカメラ
    スマートフォンはカメラ機能が付いており、デジタルカメラは専門性が高いですが、どちらも写真撮影が可能です。
  6. ソーラーパネルと風力発電
    どちらも再生可能エネルギーを利用して電力を生成しますが、設置場所や環境条件によって選択されることがあります。

これらの例は、消費者のニーズや価値観、利用状況によって選択される代替財です。
一見すると代替になっていないように見えますが、経済全体でみると、これらの商品やサービスは競争関係にあります。

独立財とは

他の商品やサービスの需要とは関係なく、独自の需要がある商品やサービスのことを”独立財”とよびます。独立財の需要は、他の製品の価格や需要の変動に影響されません。

つまり、独立財の特徴は、交差弾力性が0です。

交差弾力性とは、ある商品の価格が変わると、別の商品の需要がどれだけ変わるかを示す指標で、独立財の場合は価格変動が需要に影響しないため、0となります。

独立財と補完財の違いは、どのように相互に関係しているかです。
補完財は、ある商品やサービスと一緒に使うことでお互いの価値が上がるもので、需要が連動していますが、独立財は他の商品やサービスの需要と関係がなく、それぞれの需要が別々に存在します。

完全補完財と粗補完財とは

完全補完財とは、ある2つの財が一定の比率で両方とも増加しなければ効用を高めることができないような財を指します。完全補完財の例としては、左右一組の靴や、ペンとインクなどが挙げられます。これらの製品は、一方だけでは効用を十分に発揮できず、一定の比率で使われることで相乗効果が発揮されます。

一方、粗補完財とは、補完財の中で完全補完財以外の財のことを指します。粗補完財は、一定の比率で増加しなくても、相互に価値を高めることができる補完財です。例えば、ハンバーガーとポテトや、コーヒーとクッキーなどが粗補完財の典型的な例です。これらの製品は、一方の需要が増えると、もう一方の需要も増える傾向がありますが、一定の比率で増加する必要はありません。

完全補完財と粗補完財の違いは、両方の財が一定の比率で増加する必要性にあります。完全補完財は一定の比率で増加しないと効用が高まらないのに対し、粗補完財はそういった制約がありません。ビジネスパーソンにとって、これらの違いを理解することで、適切な商品組み合わせやマーケティング戦略を立てることが可能となります。

完全代替財・粗代替財とは

完全代替財とは、ある財とその代替財の効用比率が一定(限界代替率が一定)のとき、その2財の組み合わせを指します。これは、消費者が一方の商品ともう一方の商品を完全に同等とみなし、どちらか一方を選んで消費することができる状況を示しています。例えば、通常の砂糖と人工甘味料のように、同じ目的で使用されるが、価格や成分が異なる商品が完全代替財の典型例です。

一方、粗代替財とは、完全代替財以外の代替財を指します。粗代替財は、完全に同等ではないものの、ある程度代替可能な商品やサービスの組み合わせです。一般的に、代替財と呼ばれる財に当てはまるものを粗代替財と言います。例えば、コーヒーと紅茶、牛肉と豚肉などが、粗代替財の代表例です。これらの商品は、消費者の好みや価値観によって、ある程度相互に取って代わり得る関係にあります。

完全代替財と粗代替財の違いは、その代替性の程度にあります。完全代替財は消費者が完全に同等とみなす商品ですが、粗代替財は完全ではないものの、ある程度の代替性がある商品です。ビジネスパーソンにとって、これらの違いを理解することで、競争相手や市場ニーズに対応する適切な戦略を立てることができます。

関連ワード

補完財(ジレットモデル)とは

定額課金のサブスクリプションに対し、ジレットモデルは従量課金型です。「消耗品ビジネス」とも呼ばれるように、本体を安くして(ときには無料で)普及させ、消耗品のほうで儲けるかたちです。

ジレットモデルの適用範囲は、一般消費者向けの消費財だけではありません。建設機械分野で、故障しやすい部位の補修部品とメンテナンスを収益の柱にしたコマツなどの事例もあります。

他社製品への乗り換えをさせなくする工夫が事業のポイントとなります。このメーカーから買い続けたいと思わせるだけの魅力を提示し、良い意味での自社製品への「ロック・イン」(閉じ込められた)状態にします。その意味で、LTVの発想と相性のよいビジネスモデルとなるのです。

事例紹介

セイコーエプソン

■セイコーエプソンが1996年に発売したインクジェットプリンターにより安価な家庭用プリンターの需要が爆増しました。この製品は本体を安くし、消耗品であるインクを継続的に買ってもらうことで収益をあげる事業モデル(ジレットモデル)を確立し、このプリンターによりセイコーエプソンは世界を席巻しました。

■ジレットモデルは自社の消耗品を買ってもらえなければ成り立ちません。そのためこのモデルに対抗するため様々な製品が考案されました。たとえば他社のプリンターでも使える互換インクの発売や、中身だけを詰め替えられるカートリッジなどです。

■そうした中、セイコーエプソンは純正品インクの品質アップなどに取り組んでいましたが、近年では自らジレットモデルを崩すようなビッグタンクプリンタを発売しています。これは大容量のインクを詰めたタンクを搭載したプリンターで、本体は高額ですがこまめなインク交換の必要がないため大量印刷を必要とする人に向いた商品となっています。

著者・監修者

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