近年の日本では、闇バイトによる強盗事件が多発しており、その実行犯の中心にいるのがZ世代と呼ばれる若者たちです。
彼らは、高確率で逮捕され、重い刑罰を受けるリスクを承知の上で、なぜこのような割に合わない犯罪に手を染めてしまうのでしょうか?
東京大学でZ世代を研究する舟津昌平氏と、デジタルエコノミーを分析するダグラス・ラシュコフ氏の著書から、その背景を探ってみましょう。
舟津昌平
Z世代化する社会「お客様になっていく若者たち」
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舟津 昌平 先生
以下researchmapより引用
所属:東京大学 大学院経済学研究科 講師学位
学位:博士(経済学)(京都大学)
外部リンク:https://lit.link/shoheifunatsu
書籍情報
「Z世代化する社会」東洋経済新報社
「越境協働の経営学」白桃書房
「組織変革論」中央経済社
「制度複雑性のマネジメント」白桃書房
2023年度日本ベンチャー学会清成忠男賞 受賞
2024年度企業家研究フォーラム賞 著書の部 受賞
ダグラスラシュコフ著
堺屋七左衛門訳
デジタル生存競争: 誰が生き残るのか
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ダグラス・ラシュコフ 氏
公式サイト:https://rushkoff.com/
以下アマゾンより引用
1961年生まれ。
米国ニューヨーク州在住。 第1回「公共的な知的活動における貢献に対するニール・ポストマン賞」を受賞。
『Program or be Programmed』(『ネット社会を生きる10ヵ条』ボイジャー)、『Throwing Rocks at the Google Bus』(グーグルバスに石を投げろ)、『Team Human』(『チームヒューマン』ボイジャー)など多数執筆。
『「デジタル分散主義」の時代へ』という論考が翻訳されている。
商業主義の浸透による若者の「お客様化」
現代社会は、あらゆるものが商業主義のメカニズムに組み込まれており、若者たちは常に企業からの「提案」にさらされています。
食べるもの、見るもの、聞くもの、ゲーム、SNS、学校、就職先まで、あらゆる場面で企業が提示する選択肢の中から選ぶことを求められます。
このような環境下で育った若者たちは、「お客様」として、常に与えられる側に置かれ、自ら創造する機会が奪われています。つまり、自ら主体的に判断し、行動する経験が不足しているため、「他責思考」に陥りやすくなります。
「お客様化」による主体性・判断能力の低下
ラシュコフ氏は、現代社会を「デジタル生存競争」と表現し、私たちは企業の用意したプラットフォームとアルゴリズムの上で生かされていると指摘します。
SNSのアルゴリズムは、私たちの行動を学習し、企業が提供する情報だけを表示するため、自ら情報を選択する機会が制限され常に与えられる側にいる若者たちは、自ら主体的に判断し、行動する経験が不足し、「他責思考」に陥りやすくなります。
自分の人生が良い方向に進まなくても、それは自分が悪いのではなく、誰かが提示した選択肢が悪かったせいだと考える傾向があります。つまり自ら判断する機会が少ないため、判断能力も低下していくと考えられます。
自ら判断する機会が奪われ、思考停止に追いやられるこのような社会構造の中で育ったZ世代は、主体的な判断能力が低下し、闇バイトのような危険な仕事に流されてしまう可能性が高まっていると考えられます。
わかりやすく説明したこちらの動画もご覧ください!
私たちが取り組むべきこと
社会全体として、若者たちが主体的な判断能力を養えるような環境を作っていく必要があります。
企業は、若者たちを「お客様」として扱うのではなく、共に社会を創造していくパートナーとして捉え、主体性を育む機会を提供する必要があります。
個人レベルでは、家族やコミュニティの中で、よく考え、自ら判断する習慣を身につけることが重要です。
情報を受け身で受け取るのではなく、その情報源や信憑性を批判的に吟味し、自分の頭で考える力を養う必要があります。
闇バイトの問題は、Z世代だけの問題ではなく、現代社会全体の構造的な問題が根底にあります。私たちは、この問題を深刻に受け止め、社会全体で解決策を探っていく必要があります。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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