分業と調整
Specialization and coordination
- 分業とは、大きな仕事を小さく分けて、それが得意な人に仕事を任せること。
- 分業することで、担当者がその仕事に習熟できる。まとめて実行することで規模の経済が働き合理的に遂行できる。また作業の切り替えにかかる時間も削減が可能。
- 調整とは、分業による細かく分けた仕事を1つに統合すること。
組織の人々を効率的に動かすために、分業と調整を組み合わせて、階層構造(ヒエラルキー)を形成する
関連ワード
分業と調整とは
組織は、分業と調整でつくられます。膨大な仕事に対処するために、まずは組織で必要となる仕事について分業をすることが第一歩です。
分業した人々が、それぞれバラバラに仕事をしていては、組織としてまとまった動きができません。そこで、調整のための仕組みが求められるのです。
この分業と調整をうまく構築していくことで、組織は階層構造(ヒエラルキー)をかたちづくります。ヒエラルキーの中では、各階層にどれくらいの権限を持たせるかがカギとなります。上手なヒエラルキーの設計こそが、組織が機能するかどうかを左右します。
組織が巨大化するにつれ、ヒエラルキーが深く、複雑になり過ぎてしまいます。そうした場合に、よりシンプルな分業、よりシンプルな階層構造にリデザインすることが求められます。多くの場合、権限を下位組織に与えていくことで、課題の解決が図られるのです。
事例紹介
ダイキン
■ダイキンは日本のグローバル企業の成功事例のひとつですが、その成功の鍵は本社と子会社の分業・調整関係の見直しにありました。
■かつてダイキンの海外子会社の権限は小さく、強い権限を持つ親会社が全てをコントロールしていました。しかし、そうした体制では権限が集中している本社がひたすらに忙しい割に海外展開はなかなか進まないというジレンマに陥っていました。
■そこで、海外子会社に思い切った権限移譲を行い、本社の権限は最小限の調整機能に留めるようにしました。これは、ダイキン中興の祖として知られる井上礼之氏の言葉で「求心力と遠心力のバランスを見直した」と表現されています。
■その結果、それぞれの国に合わせた対応や施策が可能になり各国子会社の事業成果は飛躍的に伸びました。現在では、世界100か国以上で営業し、その多くでトップシェアを取るまでに至っています。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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