プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(Product Portfolio Management)
- 複数の事業分野をもつ企業が、全社の方針を立てるときに使う。
- 各事業(プロダクト)を、市場シェアと、市場成長率で分類する。
- シェア・成長率ともに高い事業は会社の「花形」。成長率は高いがシェアは低い事業は「問題児」。シェアは高いが成長率は低い事業は「金のなる木」シェアも成長率も低い事業は「負け犬」。
これから先の展望として、成長戦略を描く際によく当てはまる。自社の現状に照らして、的確な方向を設定する。
関連ワード
- アンゾフのマトリックス
- 規模の経済・範囲の経済
- 両利きの経営
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントとは
大きな企業ともなれば様々な事業を多角的に営むのは自然なこと。そうした多角化企業のための基本的戦略方針を立てるための手法です。
基本発想は、金のなる木で稼ぎ、問題児を育てて、花形にします。負け犬事業は撤退させます。限られた経営資源を、どこにどう振り向けるのかを考える際に使います。
厳密には横軸は「相対市場シェア」です。シェア20%といっても、業界最大のライバルが30%シェアなのか、10%シェアなのかで話は大きく変わってきます。ライバルとの相対的な比較のうえで「圧倒的1位」であれば相対市場シェアを高いと評価し、「大きく離されて下位」であれば相対市場シェアを低いとみます。
「花形」「負け犬」といった用語は、あくまで、理論を覚える際だけにしましょう。この事業は「金のなる木」だとか、この事業は「負け犬」だね、といった表現が、現場によい影響を与えることはほとんどありません。「シェアも低くて成長性もないなら撤退も視野に入れる」、「成長性が非常に高いが、まだシェアが小さいので積極的に育てる」といった、理論の骨子部分をこそ頭に入れてください。
事例紹介
富士フイルム 衰退産業からの脱出
■富士フイルムは、2000年頃から事業の一大転換を成し遂げた会社として知られています。もともとは社名通り、カメラ用フィルムを生産していましたが、デジタルカメラの登場から存亡の危機に立たされます。
■同社は、急激に市場成長率が鈍化していくフィルム事業(金のなる木)からの収益をベースに、フィルムや精密加工技術を活かした新事業を模索します。オフィス用複合機を次なる主力製品に育てます(花形)。またフィルム技術を活かした化粧品や医薬品にも進出し、次なる主力に育てようとしています(問題児)。一方で、デジカメの普及と共に急速に市場が小さくなっていたフィルムカメラ事業からは早々に撤退しています(負け犬)。
■この難局を乗り越えた同社の古森重隆社長(当時)は、21世紀の日本を代表する経営者のひとりに数えられます。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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