動機付け
Motivation

- 個人を動かす力、ひいては組織を動かす力の原点となるのは、心がそれを実行しようと思うこと。すなわち、動機:モチベーション。
- 人間の基本的な動機は「お金がもらえるから」。ただし、人の複雑な心理を満たすためには、マズローの欲求段階説などに代表される、様々な動機を満たすことが大切になる。
動機付けの理論は数々あるが決定版はない。相手にとって適切かどうか考えながらきめ細やかに対応する必要がある
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動機付けとは
電気やガソリンが供給されれば動く機械とは違って、私たちはカロリーを摂取しただけでは行動できません。高度に発達した脳をもつ人間は、自ら意思決定しなければ行動できないのです。この意味で、個人の行動、ひいては組織の動作の起点となるのが、動機です。
動機付け理論には様々なバージョンがあります。最も有名なものはマズローの欲求段階説でしょう。人間は動物的な生理的欲求、安全欲求からはじまり、関わり合いが欲しいという社会的欲求、認められたいという尊厳欲求へと進み、最後には自己実現したいと欲求をもつ、というものです。
ただし、科学的な「決定版理論」は動機付け理論には存在していません。その重要な理由は「私たちは一人一人、違っているから」です。人によっては、お金を稼ぎたいが動機になるし、また別の人にとっては、楽しみたい、が動機になります。マズローの理論なども、「人間とはこういうものだ」と理解するよりも、「自分はどうかな?」と考えるための起点とすべきものです。
事例紹介
イーロン・マスク
■電気自動車企業テスラや宇宙開発企業スペースXなどを創業した実業家。彼は既に世界の長者番付1位になるほどの莫大な資産を有しており、社会的な知名度も抜群、実績も十分で一般人からするともはや働く動機などないように思えます、しかしテスラの経営に関わり続けているのはもちろん、ツイッターの買収など様々に自分が正しいと信じて行動を続けています。
■彼の行動原理をマズローの段階欲求説で考えてみると、安全欲求でもなければ、社会的欲求、尊厳欲求でもなく、ひたすらに自己実現欲求であることがわかります。明け透けにいえば、自分の作りたいように世界を作り変える、という純粋な動機のもと、行動は常に一貫しています。そんな人間であるからこそ抜群の行動力で物事を実現していけるのです。働く動機とは何かについて考えさせられる事例であるといえます。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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