ミッション・ヴィジョン・パーパス(Mission, Vision, Purpose)
- ミッションは、企業が実現しようとしている【遠い先の未来図】。社会における、果たすべき使命。
- ヴィジョンは、【少しだけ先の、具体的で実現可能な未来像】。企業が今から目指す方向性。
- パーパスは、原点に立ち返って、【自分達が何のために働いているのか】。
- 3つ合わせて「MVP」とも呼ばれる。
企業、あるは事業部門としての基本方針を策定するとき、 具体的な戦略・戦術に先立って、一番最初に考えるべきもの。
ミッション・ヴィジョン・パーパスとは
企業の方針「経営戦略」のうち、最初に考えるべきことが、「自分たちは何者なのか、何を為すべきなのか」です。①詳細な戦略計画立案のための基本的方向性となるものであり、②組織末端まで一貫した方針を与えるものであり、③顧客・取引先・株主などステークホルダー、ひいては社内のメンバーに、自分達が何者なのかを理解してもらうためのものだからです。
「自分たちは何を為すべきか」を定義する概念は3つあります。第1のミッション(Mission)とは、「長期目線で、どういう未来を実現したいか」です。第2のパーパス(Purpose)とは「原点(過去)にある自分たちの目的」です。第3のヴィジョン(Vision)は、「少し先(1~3年先)の未来に、何を成し遂げていたいか」です。
実現すべき未来と、自社の原点とを繋ぐように、戦略は描かれます。ですから、まずはミッション・パーパスを確認し、そこから詳細精緻なヴィジョンへと落とし込んでいく順序となります。
事例紹介
資生堂 (Vision 2020)
■日本を代表する美の総合メーカー・資生堂は、1872年の創業以来、美に関わることを手掛け、特に女性の社会進出や権利向上に取り組みながら、成長してきました。
■しかし、同社をめぐる競争状況は近年とても難しくなっていました。安価な衛生用品・化粧品分野では新興企業の台頭が著しくなっており、高級品市場でもロレアルなど有力欧米企業との直接競合が加熱していたのです。
■そこで同社は、自社のこれまでの歩みと、そして今後の社会変化をよく分析したうえで、資生堂Vision2020を策定、大きな変革に乗り出します。廉価な日用品分野から撤退し、資源をラグジュアリー分野に集中させます。そして、「アジア発の美」を提案するという独自の存在を目指したのです。主軸は化粧品に置きつつも、VRや再生医療などにも積極的に乗り出し、美にまつわる総合メーカーへと変貌を遂げています。細かな数値目標や具体的手段にまでブレイクダウンされたその精緻なヴィジョンが、同社の変革を推進したのです。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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