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【コンティンジェンシーとは?】ビジネス現場における意味と使い方を解説

コンティンジェンシーは「不確実性」や「不測の事態」「偶然性」などの意味をもつ言葉です。

普段の生活ではあまり聞き慣れないかもしれませんが、ビジネスの場では経営管理論やITなどの現場で使用されることがあります。

リーダーや組織のあり方についてや、不測の事態が起きた場合にいかに被害を最小化するかの対策として、取り上げられる考え方です。

この記事では、ビジネス現場においてコンティンジェンシーとはなにを意味して、どのような使い方をされているのかについて解説していきます。

ぜひ、ビジネスの場でコンティンジェンシーの考え方を取り入れる際の参考にしてみてください。

【コンティンジェンシーとは?】ビジネス現場における意味と使い方を解説
目次

コンティンジェンシーとは

コンティンジェンシー(Contingency)とは、偶発や偶然、不慮の事故や偶発事件などを意味する言葉です。

偶然に起こるかもしれない、予測できない事態のことをあらわし、ビジネスでは「不確実性」や「不測の事態」などの意味で用いられます。

コンティンジェンシー理論

コンティンジェンシー理論とは、「どのような環境・状況下であっても、そのときに最大限のパフォーマンスを発揮できるリーダーは存在しない」と考えるリーダーシップ理論です。

さまざまな経営スタイルが企業にはありますが、環境や状況などによって変化していくことが求められます。

コンティンジェンシー理論では変化を求められたときに、リーダー本人の資質にリーダーシップを求めるのではありません。

環境や状況の変化に応じて、経営スタイルを柔軟に変えていく必要があると考えるのが、コンティンジェンシー理論の考え方です。

別名「状況適合理論」ともよばれます。

コンティンジェンシー理論のメリット

リーダーシップ理論であるコンティンジェンシー理論は、取り入れることで、メリットになることがいくつかあります。

考えられるメリットを主に3つ、ご紹介していきます。

状況に応じて組織変革できる

コンティンジェンシー理論では、そのときどきの環境や状況に応じて、リーダーシップのスタイルを変更していきます。

リーダーに求められるのは、時代による変化、環境や状況による変化にも柔軟に対応できる能力です。

現場で状況を把握して、すぐに行動を起こせるリーダーが増えることは、どのような状況になったとしても柔軟な対応ができる可能性が高まるといえるでしょう。

状況によって組織やリーダーを変更できるコンティンジェンシー理論では、その場に応じて臨機応変に対応できるようになります。

市場や状況に合わせて組織体制を変えることも可能です。

変化に対応できるリーダーの育成が可能

組織は時代や環境、状況によって変わっていく必要性があるでしょう。

コンティンジェンシー理論を取り入れることで、変化に迅速に対応できるリーダーを育成することができます。

緊急時などの急を要する状況下でも、マニュアルや組織のルールに縛られ、上層部のリーダーの指示が出るまで動けないとなれば、事態が悪化する恐れがでてきます。

一方、コンティンジェンシー理論の考えでは「どのような状況であってもリーダーは存在しない」と考えるため、その場での状況判断が可能となります。

各現場のリーダーには、常にスキルを磨いていくことや幅広い知識を身に付けることが自然と求められます。

変化に対応できるスキルが磨かれ、先を見通すスキルや、臨機応変に対応できる対人関係にも優れた能力を持つリーダーが育成されやすいでしょう。

ヒエラルキーに左右されない

コンティンジェンシー理論の考えでは、絶対的なリーダーは存在しないものと考えられています。

それにより経営体制の固定化もしづらいものとなり、ピラミッド型の組織体制ではなく、上下関係がないフラットな組織の構築が可能となります。

従来のピラミッド型の組織では難しかった、下層の意見が反映されることも容易となるでしょう。

個々がリーダーシップを発揮することが可能となり、ヒエラルキーに左右されない、フラットな組織作りが可能となります。

コンティンジェンシー理論のデメリット

コンティンジェンシー理論は柔軟な考え方のため、メリットは多いですが、デメリットもいくつか存在します。

続いては、デメリットについてみていきましょう。

従業員への負担が大きくなる

コンティンジェンシー理論では、環境や状況に応じて柔軟にリーダーシップのスタイルや経営方針を変えていくのがよいとされます。

しかしその分、従業員の負担は大きくなるといえます。

環境や状況の変化に合わせて、絶えずスタイルを変化させるとなると、組織のコントロールは容易ではありません。

組織を主導するにあたっては、ある程度の手腕が求められるでしょう。

リーダーを育成する教育や研修を行なって、少しでも従業員の負担を軽くすることが大事です。

方向性を誤る危険性がある

組織がフラット化することにより、コントロールがより難しくなります。

企業としての統一感を保つことが難しくなったり、組織内であつれきができたりするリスクが生じてきます。

そのうえ状況の見極めを誤れば、組織が間違った方向に進んでしまうことが考えられるといえます。

ノウハウを積み上げにくい

コンティンジェンシー理論では、環境や状況の変化に柔軟に対応できることがよしとされます。

そのため、広くて浅い能力は身に付けられますが、専門性はなかなか育ちにくいといえます。

環境や状況の変化に柔軟に対応し続けることを繰り返していると、なかなか知識やノウハウが蓄積されていきません。

場合によっては、そのことが競争力の低下を招くおそれにつながることもあります。

組織全体で知識やノウハウを共有できるように、ITツールやシステムを使い、業務内容や知識の共有をおこなう等の工夫が必要となってきます。

コンティンジェンシー理論を活用するための3つのポイント

コンティンジェンシー理論を活用するには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。

活用する際のポイントを3つご紹介しますので、ぜひ、参考にしてみてください。

企業のグローバル化をすすめる

これからは企業として、より一層のグローバル化が求められることが多いといっても過言ではありません。

急速に進むグローバル化に対応し、顧客の多種多様なニーズに対応するには、幅広い視点や多様な考え方を持った人材が必要不可欠です。

例えば、文化や言語が違う海外から人材を採用すれば、日本人の考え方の枠から外れた新しい価値観や発想を得ることができるでしょう。

多種多様な人材がいれば、企業の雰囲気が変わり、いままでにないアイデアが出やすくなります。

グローバルな対応ができる人材の育成は、国内のみならず海外での競争力を高めることが可能となり、企業としての成長に貢献できるでしょう。

多様な人材を採用する

さまざまな状況に対応するためには、各状況に適した人をリーダーを選ぶ必要があります。

そのためには多様な人材採用が求められます。

価値観が似ている人とは、意思の疎通が容易であったり、仕事に対する考え方が似ていたりと仕事がしやすいと感じるかもしれません。

仕事がしやすいのはいいことではありますが、似たような考え方をする人ばかりだと、判断を誤ったとしても気づく人がいないなどのリスクが伴います。

企業が誤った方向へ向かうなど思わぬリスクを負うのを予防するには、国籍や性別、年齢などにとらわれない多様な人材採用を行うとよいでしょう。

社内環境を整備する

いきなりコンティンジェンシー理論の考えを取り入れるとなると、社内に混乱をもたらすおそれがでてきます。

取り入れるまえに、社内環境をあらかじめ整備しておくと比較的スムーズに取り入れることが可能となるでしょう。

昇進や評価などの基準、人事制度などの見直しも必要となるかもしれません。

従来の基準や制度に固執することなく、現状に応じた基準や制度を設け、柔軟性がある社内環境を整備していきましょう。

いままでの評価制度ではリーダーとして選出できないケースであっても、コンティンジェンシー理論の考えでは可能な場合がでてきます。

年功序列のもとでは、優秀であってもすぐにリーダーになれなかった人がリーダーとなったり、スキルアップが評価につながったりすることが可能でしょう。

従来の評価方法と異なれば、社内の混乱を招くおそれがあるため、あらかじめ社内環境を整備して混乱を防いでいきましょう。

多様な人材や働き方に対応していくためには、変化に合わせて柔軟に社内環境を整備していくことが必要です。

コンティンジェンシープラン

コンティンジェンシープランとは、突発的に起こる不測の事態の際に、被害が最小限になるよう、企業があらかじめ手続きや対処法を決めた計画のことをいいます。

企業が活動していく上で、自然災害や事件、事故、テロなどさまざまなリスクに巻き込まれる可能性がないとはいいきれません。

例えば、台風や地震、火災などがおきれば建物や設備などに損壊がでるかもしれません。

また、停電やサイバー攻撃などがおきれば、データの損失やシステムの誤作動、情報漏洩などのリスクにさらされることもあるでしょう。

いずれの不測の事態の場合も、事態が起こってから対処法を決めるのでは遅すぎます。

初期対応の遅れが、より深刻な被害をもたらすことを招くおそれも出てきます。

事態がおきてから慌てて対処法を考えるのではなく、あらかじめ、コンティンジェンシープランをたてて、不測の事態に備えておきましょう。

いざというときにすぐに動けるように、日頃から計画をたてておくことが重要となります。

コンティンジェンシープランとBCPの違い

コンティンジェンシープランとBCPの違い

コンティンジェンシープランとよく混同されやすいものに、BCP(Business  Continuity Plan)があります。

コンティンジェンシープランとBCPは、どちらも不測の事態の際にとるべく行動を計画したものですが、目的や計画は異なります。

コンティンジェンシープランは「緊急時対応計画」ともいわれます。

概要としては「不測の事態がおきた場合、いかに被害を最小限におさえるか」に焦点をあてた、いわば短期的な計画です。

一方、BCP(Business  Continuity Plan)は「事業継続計画」ともいわれます。

こちらの概要は「不測の事態でもいかに事業を継続するか」に焦点をあてた中長期的な計画です。

どちらも不測の事態に備えて、あらかじめ立てておく計画には違いはありません。

とはいえ、2つは似ているようで、以下のような違いがあります。

コンティンジェンシープラン

初期の段階の計画で「不測の事態がおきた場合、いかに被害を最小限におさえるか」におもきをおいた計画。

BCP

中長期を見据えた計画で「不測の事態でもいかに事業を継続するか」におもきをおいた計画。

目的や観点が異なりますので、2つの違いをおさえておきましょう。

コンティンジェンシープラン作成の3ステップ

コンティンジェンシープランを作成するには、ステップをふんで作成するとよいとされています。

正しいステップで、実用性があるコンティンジェンシープランを作成していきましょう。

順番に解説していきますので、ぜひ作成する際の参考にしてください。

リスクの洗い出し

まずは、企業をとりまくあらゆるリスクについて洗い出していきます。

リスクについて正しく把握をしていなければ、対応策は導けません。

災害や事故、テロなど想定される不測の事態を想定し、複数人で意見を出し合っていきます。

不測の事態に対して、2次的、3次的にどのような影響が起こるかを予測、調査して洗い出すことが重要です。

各関連部署から複数人を集めて、リスクの偏りや漏れがなるべくないように意見交換をしましょう。

その際、リスクに対しての認識にバラツキが生じると混乱が生じますので、あらかじめ作成目的やリスクに対しての認識を共有しておくようにします。

なるべく悲観的な観点を想定してリスクを洗い出していくと、いざ不測の事態が起きた場合に役立つかもしれません。

起こり得る頻度やリスクがもたらす影響などを考慮しながら、対応時の優先順位なども決めていくといいでしょう。

リスクへの対応策の決定

起こり得ると想定されるリスクの洗い出しが終わったら、次はそれぞれに対しての具体的な対応策を決めていきます。

想定されるリスクのシナリオをまずは具体的にしましょう。

そのうえで企業としての緊急時の体制や対応法、従業員の役割、企業活動を行ううえで必要な資源が確保できなくなった場合の代替手段などを策定します。

災害などの不測の事態では、役割に割り当てた従業員が対応できない場合も想定されます。

そのような事態を考え、代行者を複数人決めておいたり、代替手段などは複数用意しておいたりするとよいでしょう。

メンバーへの共有

コンティンジェンシープランの作成ができたら、すべてのメンバーに共有、公開しましょう。

不測の事態がおきたときに、企業としての損害を最小限に食い止めるため、全メンバーの安全を確保するためには、一人一人が対応法や役割を認識しておく必要があります。

緊急時の対応の遅れや誤りで2次被害を招かないためにも、すべてのメンバーへの共有を徹底してください。

日頃から、定期的に研修や教育などの場を設けることや、緊急時の連絡網などを周知しておくことなどが重要です。

定期的なプランの見直し

コンティンジェンシープランは、一度作成したら終わりではありません。

定期的にプランを見直していく必要性があるものです。

事業の形態や環境に変化があれば、起こり得るリスクもそれにともない変化していきます。

定期的に見直しをして、不足があれば補足をしたり、改善したりしていきましょう。

計画と実情にズレが生じることもあるので、不測の事態を想定した訓練などを定期的に行い、より実用性が高いコンティンジェンシープランとなるよう、改善していくことが重要となります。

コンティンジェンシープラン作成の注意点

コンティンジェンシープランは、緊急時に活用できなければ意味がありません。

いざというときに活用できるように、コンティンジェンシープランを作成する際に注意することがいくつかあります。

あらかじめ注意点を知っておいたうえで作成すると、よりスムーズに作成ができるでしょう。

ここでは、以下の2点を注意点としてあげておきますので、作成する際の参考にしてください。

周囲に理解されるとは限らない

コンティンジェンシープランは緊急時には必要な計画ですが、日常の業務で必要なことではありません。

そのため、多くの時間や労力を費やして作成したとしても活用するとは限らないでしょう。

会社として日常の業務やサービスなどで手一杯のときは、作成段階で周囲の理解を得られない場合もあるのです。

コンティンジェンシープランを作成するには、作成時に十分な話し合いをして、周囲の理解を得たうえでプラン作成をすすめていく必要があります。

コンティンジェンシープランについての詳細を提示したうえで、周囲に必要性を認識してもらいましょう。

一覧にまとめる、社内で問い合わせがあれば内容を提示するなど、コンティンジェンシープランについて明確にされていると、周囲からの理解が得られやすくなるかもしれません。

ブラッシュアップが必要

コンティンジェンシープランは作成したら終わりではなく、定期的にブラッシュアップしていくことが必要とされます。

いざというとき、適切に機能できるように最新の状況に合わせたものへと定期的に見直していきましょう。

状況に変化があれば改善をし、考えられるリスクに対応するものへと都度変更していきます。

見直しや改善をしたら、従業員を集めて教育や訓練などを行い、機能するものであるのかを確認すると同時に、最新のコンティンジェンシープランを従業員に共有しておきましょう。

全従業員が最新のコンティンジェンシープランに基づいて行動できるよう、定期的に見直しや教育の場を設けるとともに、日頃から周知しておくことが必要です。

コンティンジェンシーを理解して自社にうまく活用を

企業活動をしていくうえでは、思わぬ不測の事態に巻き込まれないとは言いきれません。

いつなんどき起こるかわからない不測の事態は、起きてから対応を決めるのでは、混乱を極めて被害を拡大してしまうおそれがあります。

日頃から不測の事態が起きた場合の対処法を決めておくと同時に、いざというときにすぐに動けるように熟知しておくことが重要です。

多様化するリスクに備えてコンティンジェンシープランを作成しておくことは、被害を最小限におさえるうえで役に立つでしょう。

作成する際は、注意点をよく把握したうえで、ステップにのっとって作成すると、よりスムーズに作成ができるでしょう。

また、コンティンジェンシー理論の考えを取り入れると、環境や状況に柔軟に対応できるリーダーの育成や組織作りに役立ちます。

メリットやデメリットを把握して、活用する際のポイントなどをよくおさえたうえで、自社に取り入れてみるといいかもしれません。

今回ご紹介した、ビジネスにおけるコンティンジェンシーを理解して、ぜひ自社に取り入れうまく活用してみましょう。

著者・監修者

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