ビジネスの世界では、顧客満足度向上や従業員のモチベーションアップなど、様々な場面で心理学の知見が役立ちます。今回は「ピーク・エンドの法則」です。
この記事では、この法則の概要やビジネスでの応用、さらに日常生活での活用法についてお話しします。
ピーク・エンドの法則とは?
ピーク・エンドの法則は、人間の記憶と経験評価に関する心理学的な考え方です。この法則によると、人は経験全体を評価する際、主に2つの要素に影響されるそうです:
- 最も強い感情を感じた瞬間(ピーク)
- 経験の最後の印象(エンド)
つまり、経験全体の印象は、途中の出来事よりも、最も印象的だった瞬間と最後の印象で大きく左右されるんですね。
この法則は、1993年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンと、彼の同僚エイモス・トベルスキーが提唱しました。彼らの研究は、経済学と心理学が融合した行動経済学の発展に大きく貢献したんです。
ビジネスでのピーク・エンドの法則活用法
この法則は、ビジネスの様々な場面で使えます。特に顧客体験の設計や従業員満足度アップに効果があります。
顧客サービスの改善
顧客サービスで、この法則を意識すると顧客満足度がグッと上がります。
- ピークの創出:サービス提供中に、お客様に強い positive な感情を与える瞬間を意図的に作ります。例えば、予想以上のサービスや特別な気配りで、お客様に「うわっ、すごい!」と思ってもらえるようにするんです。
- エンドの重視:サービスの最後の印象を良くすることが大切です。例えば、心のこもった感謝の言葉や小さな気遣いなど、お客様との最後のやりとりを特別なものにすると、全体的な印象がぐっと良くなります。
私が関わっているやさしいビジネススクールでは、この考え方を活かして、新入会の方向けにオリエンテーション面談をしています。この面談が、ビジネススクールでの学習体験の「ピーク」になるよう工夫していて、参加者の皆さんにとても良い印象を持っていただいています。
プレゼンテーションとスピーチの構成
ビジネスプレゼンやスピーチでも、この法則が使えます。
- 印象的な始まりと終わり:プレゼンの冒頭で聴衆の注目を集め、最後に強いメッセージで締めくくると、全体的な印象が良くなります。
- 山場の設定:プレゼンの中盤に、一番大事なポイントや印象的な情報を持ってくることで、「ピーク」を作り出すんです。
やさしいビジネススクールのプレゼンスキル講座では、この法則を使ったプレゼン技法を教えています。受講者の皆さんは、聴衆の心に残る効果的なプレゼンの組み立て方を学べるんですよ。
- 商品開発とマーケティング
製品やサービスの開発、そしてマーケティング戦略にも
- 製品体験のデザイン:製品を使うときの「ピーク」となる瞬間を意図的に設計し、最後の印象を良くすることで、お客様の全体的な満足度を高めます。
- マーケティングキャンペーン:広告やプロモーションで強いインパクトを与える要素(ピーク)を入れ、キャンペーンの締めくくり(エンド)を印象的にすることで、ブランドの記憶度を高めるんです。
やさしいビジネススクールの経営戦略講座では、こういった心理学的な考え方を使ったマーケティング戦略の立て方を学べます。
日常生活でのピーク・エンドの法則の使い方
この法則は、ビジネスだけじゃなく日常生活のいろんな場面でも使えます。
休暇の計画
休暇の思い出は、この法則の影響をすごく受けます。
- ピークの創出:旅行中に特別な体験や印象的な活動を計画して、強い positive な感情を作り出します。
- 良いエンドの演出:旅行の最終日に楽しいイベントやリラックスできる時間を設けて、全体的な満足度を高めるんです。
人間関係の構築
人間関係でも、この法則は大切な役割を果たします。
- 印象的な出会い:初めて会ったときに良い印象を与えると、関係性の良いスタートが切れます。
- 良い別れ方:別れるときに良い印象を残すと、次に会うのが楽しみになりますよね。
やさしいビジネススクールの組織学習講座では、こういった心理学的な原理を使ったチームづくりや人間関係作りのコツを学べます。
学習と自己啓発
個人の学習や自己啓発にも、この法則が使えます。
- 学習の山場:学習過程で特に印象に残る経験や成果(ピーク)を設定すると、モチベーションが続きやすくなります。
- 達成感のある終わり方:学習セッションの最後に小テストや振り返りをして達成感を味わうと、次の学習意欲につながります。
やさしいビジネススクールでは、こういった学習心理学の考え方を活かして、受講者の皆さんが効果的に学習を進められるようサポートしています。オンデマンド形式の講義では、各セッションの終わりに振り返りの機会を設けて、学習の定着と満足度アップを図っているんです。
まとめ:ピーク・エンドの法則を実践しよう
ピーク・エンドの法則は、人間の記憶と経験評価の仕組みを理解する上でとても大切な考え方です。この法則を意識すると、ビジネスでの顧客満足度アップや、日常生活での人間関係作り、個人の成長など、いろんな場面で良い結果を生み出せるんです。
やさしいビジネススクールでは、この法則を含む行動経済学の知見を、実践的なビジネス教育に取り入れています。現役の大学教授陣と実務家がタッグを組んで教育を提供することで、理論と実践のバランスの取れた学びを実現しています。
ビジネスパーソンの皆さん、日々の仕事や人間関係の中で、意識的にピークとエンドを設計してみてください。より良い結果が生まれるはずです。この法則を実践することは、ビジネスの成功と個人の生活の充実につながる大切なスキルになると思います。
人間の心理を理解して活用することは、ビジネスの成功に欠かせません。やさしいビジネススクールでは、この法則のような心理学的な考え方を、実際のビジネス場面でどう使うかを学べます。ぜひ、こういった知識を活用して、皆さんのビジネスと日常生活をより豊かなものにしていってくださいね。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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