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新卒一括採用の非効率を改革するには?~ジョブ型雇用・人材ポートフォリオの活用~

新卒一括採用がいかに非効率であり、改革が必要かを経営理論から解説します。
自社の人事制度の改革に役立ていただけると幸いです。

この記事は、「新卒一括採用が非効率な理由を経営学者が解説」という動画をテキスト形式で読みやすくまとめたものです。

目次

新卒一括採用の定義と現状

新卒一括採用とは

企業がその年度に卒業予定の学生(新卒生)を対象に、毎年一括で採用をし、内定確定後、学生は仕事に関するトレーニングを行い、各部門に配属される日本独特の採用方式です。

新卒一括採用は、さかのぼること明治時代から始まり、とりわけ1950年代、戦後の人材不足の時代に大企業が高卒者を大量に採用したことから確立されました。
日本では今も一般的な雇用慣行となっています。
しかし、令和時代の現代においても続いているこのシステムには多くの問題があります。

海外の採用システムとの比較

海外では、ポジションが空いた時点でそのポストに適した人材を募集する「都度採用」が一般的です。

特にアメリカでは、学生が卒業時点で内定を持つこともありますが、それは個別のポストに対してエントリーする形式です。この方式では、スキルや意欲のマッチングが確実に行われるため、ミスマッチが起こりにくい構造になっていると言われています。

日本の「新卒一括採用」の問題点

新卒一括採用の問題点には、以下のようなことがあります。

人事部の異常に高い権限によるミスマッチ

日本の人事部は、世界的に見て異常に強い権限を持っています。
人事部が一括して新人を採用し、各部門に配属するため、スキルと業務内容のミスマッチが起こりやすいです。

ミスマッチが起こる構造的な問題

部門ごとに必要なスキルや人材のプロファイルを明確にせず、人事部が一括して採用を行うため、配属先でのミスマッチが発生しやすくなります。

早期内定の問題

在学中に企業採用が決まり、卒業と同時に職場に配属されるため、学生と企業の双方にとって本当の意味での適材適所が難しくなります。

配属ガチャが起きる

ある教え子からの話。
就職先の大企業は、全国に多くの支店や部門などがあり、内定時にはどこに配属されるかは未定。入社後、4月以降になって配属先が伝えられる。が、本人の希望する新規開拓部門や営業ではなく、経理の仕事に就くことに……。
残念ながら仕事へのモチベーションは下がってしまったそうです。

現場も不満、人材サイドも不満を抱えた状態では、企業競争力も落としてしまうことになりかねません。

どのように新卒一括採用を改善していけばいいのでしょうか?

新卒一括採用の改善案

新卒一括採用の改善策のひとつに「ジョブ型雇用の導入」があります。

ジョブ型雇用の導入

仕事内容を明確にし、そのポストに適した人材を都度募集する方式に転換することが必要です。
これにより、スキルと業務内容のマッチングが確実に行われ、ミスマッチが減少します。

企業として、ジョブ型雇用を行うことや、新卒一括採用をすぐに変えるのは難しい、変更に時間がかかるのであれば、「人材ポートフォリオ」を活用した採用から着手するのをおすすめします。

人材ポートフォリオの活用

人材ポートフォリオとは
各部門が求める人材を具体的に示し、それに応じた採用活動を行うためのツールです。

人材ポートフォリオを活用することで、各部門ごとに必要な人材のプロファイルを明確にし、それに基づいて採用を行うことで、現場と人材のミスマッチの確率を大幅に減らすことができます。

人材ポートフォリオを二軸四象限」で考えることはお勧めしません

二軸四象限の例

このような図を使って「人材ポートフォリオ」考えるのはお勧めしません。

なぜなら、目指す採用の形「各部門がどういう人が欲しいのか」、求職者が「どういう部門で働きたいか」を表すことができないからです。

大事なのは「各部門がどういう人が欲しいのか」求職者が「どういう部門で働きたいか」の発想で採用を考えることです。

具体的な「人材ポートフォリオ」の運用方法

人材ポートフォリオの運用方法としては、製造部門、技術部門、営業部門など各部門ごとに必要な人材のプロファイルを明確にし、そのプロファイルに基づいて求人を行います。

例えば、製造部門では「どのようなスキルを持った人材」が「何人」必要か、営業部門では「どのような経験を持った人材」が必要かを明確に、具体的にしておくことが重要です。

これからの人事採用 ~ジョブ型や人材ポートフォリオの導入~

新卒一括採用のシステムは、時代の変化とともにその非効率さが目立つようになってきました。

企業の競争力を高め、社員のモチベーションを維持するためにも、「ジョブ型雇用」や「人材ポートフォリオの導入」を進めることが求められます。

特に人事部門は、各部門のニーズをしっかりと把握し、それに応じた採用活動を行うことが重要です。

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著者・監修者

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