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憲政史上最長、安倍政権の経済的功績を振り返る。

最初に注記いたしますが、本記事は、特定の政治信条に基づくものでも、特定の政党を支持するものでもありません。経済学博士・経営学者として、故人の業績を、データから振り返っておくことを企図したものです。以後の国の舵取りは私たちに委ねられました。アベノミクス路線を継続するも、修正改良するも、大きな路線転換を図るも、いずれも理があります。そんな際の判断材料に、していただけたらと願っています。

憲政史上最長となる、実に7年8か月。2013年から2020年にわたる第二次安倍政権、経済的には非常に明確な方向性をもって進んでおりました。その足跡については、もう少し知られてもよいのではないかと考えました。

あくまで自分が専門とする経済経営分野のことだけではありますが、簡単に振り返っていきたいと思います。

図1 一人当たりGDP推移

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安倍政権の経済運営としては「アベノミクス」の名称が広く知られています。いくつかの主要政策があるのですが、何より重要なのは、”異次元の”と形容された金融緩和。金融セクターを経由して国内に多量の資金を提供し、経済成長を力強く後押しした。その結果、戦後2番目に長い71か月の経済成長を実現しています。

ちなみに戦後最長は、2002年-2008年の「いざなみ景気」です。いざなみ景気との差は、鮮明です(図1)。どちらも実質GDPが伸びているのは変わりませんが、名目GDPも同様に伸びた点が異なる。いざなみ景気のときは、手取りがあまり変わらず実質賃金が上がる…すなわち物価がデフレ気味だったのですが、日本の長年の課題デフレをようやく克服し、緩やかなインフレ傾向を生み出したのも功績だと言えるでしょう。

図2 失業率推移

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では、その経済成長の恩恵は、人々にどう行き渡ったか。第2に注目すべきは、失業率です。

失われた10年に5%水準にまで高まった失業率は、いざなみ景気のときにも改善しましたが、リーマンショックで再び悪化。

アベノミクスでは、一億総活躍社会の理念のもとに、企業に雇用を積極化するような政策・働きかけが盛んに行われたことで、いざなみ景気の水準よりもさらに改善し、自然失業率水準以下となる3%未満となっています。

図3 就業者数

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アベノミクス下で、日本経済が質的にもっとも大きく変わったことといえば、女性の就業者数が増えたことです。男女雇用機会均等法以来、およそ2500⁻2600万人のあいだで推移していた女性の就業者数は、安倍政権期におよそ3000万人となりました。実にその8年弱のあいだに、400万人の女性の就業者数増が起こったのです。それも、男性の仕事を奪うこともなく、むしろ男性の就業者数も増やしながら、です。

もちろん、その中では変化に伴う対策の遅れも生じました。俗に言う「待機児童問題」です。毎年数十万人の規模で女性の就業者数が増えれば、当然大きな社会問題となってくるわけですが、実はこの問題も2018年頃からは大幅な改善が見られるようになっています。実は待機児童のピークは安倍政権前、民主党政権時の2010年の26275人でした。この数値は、2018年には19895人、政権末期の2020年には12439人と、半減を達成しています。

保育園落ちた~という批判が喧伝されておりましたが、一億総活躍社会を唱え、働き方改革を推進してきたその成果は、確かに女性の産業社会参加に繋がっています。

図4 日経平均株価推移

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その結果は、世界の投資家たちから、どう評価されたか。

安倍政権のスタート時にはほぼ10000円だった日経平均は、安倍首相が退任した2020年には23000円と、こちらも倍増を超える成長を見せ、バブル期の水準を回復しました。国内外の投資家から、日本企業と、日本経済の未来は、高く評価されたのです。リーマンショックと震災に見舞われ、悲観的な状況となっていた日本経済を立て直してみせたとしてよいと思います。

もちろん、全ての課題が解決しているわけではありません。

・雇用機会は開かれたといっても、男女の賃金格差はまだまだ大きくあります。

・非正規雇用の増大も問題となっています。

・新産業へのシフトも遅れ気味で、企業にイノベーション力があるかと言えば、心許ないのも事実です。

・教育投資は不十分です。

・私たちの働きかたも、未だ非効率がはびこっています。

・「国家財政」の目線でみれば、現在の実質的MMT路線が、本当に妥当なのかどうか。

これらの課題はいずれも、道半ば、志半ばで、私たちに委ねられることになりました。

ここから、どういう道を私たちが選択したとしても、それは先人の遺したものを引き継ぐ姿勢として適切なものだと思います。ここから先の道を、どう歩むか。ぜひ、皆さんの政治参加をこそ、お願いしたいと思います。

著者・監修者

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