OEM
Original equipment manufacturer
- 製造委託のこと。複数の企業から生産を受諾する。
- 電機業界ではElectric Manufacturing Service:EMS、半導体ではファウンドリ(Foundry)とも呼ぶ。
- 今日では生産だけでなく設計や調達も行う。設計もしますよ、という意味でODM(Original Design and Manufacturing)とも呼ぶ。
OEMを利用することで自社で生産能力を持たずともよくなり、利益を出しやすくなる
関連ワード
OEMとは
製造委託は1990年代から広がりをみせたビジネスモデルです。台湾がそれを先導しており、半導体のTSMC、iPhoneの全量を生産する鴻海、ディスプレイ生産のAUOなどの企業が代表的です。
ブランド力があり、技術・開発を行っている企業からすれば、製造を自社で持たずに他者委託で作れるのであれば、そのコスト効果は非常に大きいです。工場を作るには莫大な費用がかかり、その後も固定費がかかり続けます。それらのコストをすべてかけずに済むからです。
製造委託を受ける側も、自社の持てる生産能力のなかで、受注をうまく調整していけば、高い稼働率を維持できます。合理的な分業体制であると言えます。
【注意】自動車産業など一部業界では、トヨタ自動車やVWなどの「完成品メーカー」のことを指してOEMと呼びます。語源は同じだが用法が異なっていることから、相手との会話の中では誤解を生まないよう注意しましょう。
事例紹介
TSMC
■TSMCは、半導体産業ではじめてOEM(ファウンドリ)という事業モデルを導入した画期的企業です。2021年、熊本に8000億円の工場を建設することでも話題となりました。
■それまでの半導体産業では垂直統合、すなわち製造を自前で行う以外の形はありませんでした。そのため、いかにして製造設備の投資を回収するかが経営上の最大のポイントでした。台湾の国際会社として設立されたTSMCは、この問題に対し設計と製造の分離という事業モデルを提案することで解決をはかったのです。
■TSMCは世界の半導体企業の製造を受諾して、工場の稼働率を安定させます。一方、世界の半導体企業は、TSMCに製造を委託することで固定費を削減、黒字の出やすい体質に切り替えることができました。こうして、半導体業界では急速に製造と設計の奉行が進みます。業界の構造を転換させた、歴史的事例です。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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