インターネットによるサービスが主流になった昨今、テレビメディアは「オワコン」と言われています。
「オワコン」とは「終わったコンテンツ」の略語。つまり、テレビメディアにもう需要がなく、興味を引かれるコンテンツがないとされているのです。
しかし、本当にテレビはオワコンなのでしょうか？
今回は、テレビがオワコンと言われる理由や、世の中の変化、今後のテレビの可能性について解説します。
テレビはオワコンなのか？
テレビが完全にオワコンと言えるかどうかは、一概には言えません。
一部の人々がテレビの人気が減少していると主張する一方で、他の人々はまだテレビを愛し、視聴しています。
テレビ局はオンデマンドサービスの提供やオンライン配信に取り組んでおり、視聴者の多様なニーズに応えようとしている動きもあります。
テレビがオワコンと言われる理由
テレビがオワコンと言われる理由は、デジタルメディアの急速な台頭と視聴嗜好の変化が主な要因です。
インターネットの普及とストリーミングサービスの登場により、視聴者は自由な時間や場所で好きなコンテンツを楽しむことができるようになりました。
そのため、若い世代を中心にテレビの視聴時間が減少し、デジタルメディアの柔軟性や個別化に劣るとされています。
広告主もデジタル広告へのシフトが進み、テレビ広告の収益は減少しました。
さらに、新たなエンターテイメント形態の台頭やインタラクティブなエンターテイメントの需要も高まり、テレビの一方向的な視聴体験では満足できなくなったと言われています。
デジタルメディアとテレビの競争力の低下による変化
テレビがオワコンと言われる理由には、「デジタルメディアとテレビの競争力の低下」が関係しています。
デジタルメディアによって、テレビに対しての価値が大きく変わってしまったのです。
具体的にどのような変化があったのか、以下で解説します。
ストリーミングサービスの台頭とテレビ視聴の選択肢の増加
近年、NetFlixやAmazonPrimeVideoなどが急速に普及し、オンデマンドで映画やドラマ、バラエティ番組などのコンテンツを提供しています。
このストリーミングサービスにより、視聴者はテレビの放送時間に制約されず、自身の都合や好みに合わせてコンテンツを選べるようになりました。
ストリーミングサービスは、多様なジャンルや言語のコンテンツを提供するだけでなく、オリジナルコンテンツの制作にも力を入れているので、視聴者は、より幅広い選択肢と高品質なコンテンツを楽しめるようになったのです。
そのため、テレビの視聴時間が減少しています。
スマートフォンやタブレットの普及と視聴習慣の変化
スマートフォンやタブレットの急速的な増加によって、視聴者はテレビだけでなく、手軽に持ち運べるデバイスで動画コンテンツを視聴するようになりました。
スマートフォンやタブレットは、インターネットへのアクセスが容易で、ストリーミングサービスや動画共有プラットフォームなどのアプリを利用して、様々なコンテンツを視聴できます。
自分の好きな場所でコンテンツを楽しむなど、視聴の柔軟性と自由度も増しています。
さらに、視聴習慣も変化しているのです。
若い世代を中心に、テレビよりも個人的なデバイスでコンテンツを視聴することが一般的になりました。
以上のようなスマートフォンやタブレットの普及と視聴習慣の変化により、テレビの視聴時間が減少しているのです。
テレビ広告の効果減退と広告主のシフト
テレビは広告主にとって効果的な広告媒体でしたが、デジタルメディアの台頭や視聴習慣の変化により、テレビ広告の効果は減退しています。
一つの要因は、テレビ視聴者の分散化です。
以前と比べて、視聴者はテレビ番組だけでなく、ストリーミングサービスやオンラインプラットフォームで動画コンテンツを楽しむようになりました。
テレビの視聴時間が減少し、視聴者の注目が分散することで、テレビ広告の露出機会が減少してしまったのです。
また、デジタルメディア広告の特徴的な点は、ターゲットユーザーへの精確なターゲティングと効果測定が可能であることです。
インターネット広告やソーシャルメディア広告は、ユーザーの属性や行動履歴に基づいて広告を配信し、広告の効果をリアルタイムで測定できます。
これにより、テレビよりもデジタル広告へシフトする動きが出来ているのです。
テレビ視聴者の嗜好変化とライフスタイルの多様化変化
テレビがオワコンと言われる理由の中には、ライフスタイルの多様化も関係しています。
「好きな時間に、好きな場所で」というのは、どんなライフスタイルにも対応可能です。
一方でテレビは、「決まった時間にテレビのある場所」でなければ楽しめず、一定の制約が生まれてしまいます。
このような変化が、テレビにどのような影響を与えているのかについて、以下で解説します。
オンデマンド視聴の人気と視聴者の自由な時間配分
ストリーミングサービスの登場により、視聴者は自分の都合に合わせてコンテンツを選び、好きな時間に視聴できるようになりました。
忙しいライフスタイルに対応し、視聴者は自分のペースで番組や映画を楽しめるようになったのです。
そのため、テレビの視聴時間が減少していると言われています。
コンテンツの多様性と個別化への要求
従来のテレビは、一つのチャンネルで限られたジャンルや形式のコンテンツを提供していました。
しかし、視聴者の嗜好や関心は多様化しており、単一のコンテンツに留まることは少なくなりました。
このため、多様なコンテンツにアクセスしたいという要求が生まれたのです。
対して、インターネットやストリーミングサービスは、数多くのコンテンツに容易にアクセスできます。
映画、ドラマ、ドキュメンタリー、バラエティ番組、アニメ、スポーツなど、幅広いジャンルのコンテンツを容易に見つけられるようになったために、テレビから離れる人が増えてしまっているのです。
ソーシャルメディアとの相乗効果と視聴体験の変化
ソーシャルメディアの普及により、テレビ視聴体験は大きく変化しました。
以前は、テレビ番組を視聴することは主に一方向の情報受け取りでしたが、ソーシャルメディアの登場により、視聴者同士のコミュニケーションや情報共有が可能となったのです。
例えば、番組やイベントに関する感想や意見をソーシャルメディア上でリアルタイムに共有し、他の視聴者との交流を深めることができます。
ただ、ソーシャルメディアの活用については、テレビ側にもメリットがあります。
ソーシャルメディアとの相乗効果により、テレビ視聴は単なる視聴行為からコミュニケーションや参加型の体験へと変わっていきました。
視聴者がソーシャルメディア上で番組やコンテンツに関する投稿やコメントを行うことで、話題性が高まったり視聴者の興味を引きつけたりすることも可能となったのです。
オワコンと言われているテレビ業界の対応策
テレビ業界はオワコンと言われていますが、テレビ局側もあらゆるニーズに応えるための方法を取り入れています。
実際の動きを見てみると、まだまだテレビがオワコンとは一概に言えません。
以下では、具体的なテレビ側の対応策について解説します。
テレビ局のオンライン配信サービスの展開
オワコンと言われているテレビ業界は、視聴者の変化するニーズに対応するため、テレビ局自身がオンライン配信サービスの展開を進めています。
視聴者はインターネットを通じてテレビ番組やコンテンツにアクセスでき、自分の好きな時間や場所で視聴できるようになりました。
デジタル広告との統合による収益源の多角化
オワコンと言われているテレビ業界は、収益源の多角化を図るため、デジタル広告との統合を進め、新たな収益機会を生み出し、競争力を維持・向上させることが期待されています。
テレビ番組やオンライン配信サービスの中にデジタル広告を組み込むことで、広告主はターゲット視聴者により精緻な広告の配信が可能。
デジタル広告は視聴者の興味や嗜好に基づいたターゲティングが可能であり、効果的な広告効果を狙えます。
さらに、デジタル広告との統合によって、テレビ局は新たな広告フォーマットやインタラクティブな要素を導入できるようになるでしょう。
インタラクティブなコンテンツと参加型番組の試み
テレビ業界は、視聴者との関係をより強化し、参加型の視聴体験を提供するために、インタラクティブなコンテンツや参加型番組の試みを行っています。
視聴者が番組に積極的に参加し、コンテンツに関与できるような仕組みを導入してるのです。
例えば、リアルタイムの投票やコメント機能を提供し、視聴者が自分の意見や反応を直接番組に投稿することができます。
これにより、視聴者はパーソナライズされた体験を得るだけでなく、番組の進行や結果に対して影響力を持つことができるようになるのです。
テレビの将来展望と新たな可能性
ストリーミングサービスやインターネットの普及により、テレビ業界が完全に終わる可能性はないと言えます。
なぜなら、テレビ業界は、あらゆる最先端技術を上手に組み込んでいけるからです。
以下では、今後のテレビの将来展望や、可能性について解説します。
AI技術との融合によるパーソナライズされた視聴体験
テレビの将来展望と新たな可能性の一つとして、AI技術との融合によるパーソナライズされた視聴体験が注目されています。
AI技術は、視聴者の嗜好や行動パターンを分析し、個々のニーズに合わせたコンテンツや推奨を提供することが可能です。
AIを活用したパーソナライズされた視聴体験では、視聴者の視聴履歴や好みに基づいて、次に視聴する番組やコンテンツを推薦することが可能。
AIは大量のデータを分析し、視聴者の好みや嗜好を理解し、それに基づいて個別のレコメンデーションを提供します。
これにより、視聴者は自分に最適なコンテンツを容易に見つけることができ、より充実した視聴体験ができるようになるでしょう。
5Gの普及と高品質なストリーミング体験
5Gの普及と高品質なストリーミング体験が新たな可能性をもたらします。
5Gによって、視聴者はスムーズなストリーミング体験ができるようになるでしょう。
高画質の映像や大容量のコンテンツもリアルタイムで視聴でき、没入感のあるエンターテイメントを楽しめるようになると考えられます。
また、5Gの普及によって、複数のデバイスを同時に接続して視聴することが可能となり、家族や友人との共有体験がより容易になります。
その他、拡張現実（AR）や仮想現実（VR）の普及を後押しし、より柔軟かつ充実したエンターテイメントを楽しむことができるでしょう。
コンテンツとの融合による新たなエンターテイメント体験
テレビ番組や映画、ゲーム、音楽など、さまざまなコンテンツを統合し、融合したエンターテイメント体験を提供できるようになると考えられています。
地域との連携による地域コンテンツの活性化
テレビ局やプロダクションが地域と協力し、地域に関連したコンテンツを制作・放送する、地域との連携による地域コンテンツの活性化も注目されています。
地域ごとの歴史や文化、観光地、伝統行事など、個々の地域の特色を生かしたコンテンツが制作されれば、地域の魅力が全国や世界に発信されるようになるでしょう。
また、地域の人々や地域の産業との連携も重要です。
地元の企業や団体と協力し、地域の商品やサービスを紹介する番組やイベントを展開することで、地域経済の活性化や地域の魅力の向上に寄与します。
テレビと他のメディアとの連携によるシナジー効果
テレビ局やメディア企業がテレビ放送とインターネット、ソーシャルメディア、モバイルデバイスなどの他のメディアを組み合わせ、相互に連動させることで、シナジー効果も生まれます。
これにより、視聴者とのエンゲージメントが高まり、視聴体験がよりインタラクティブで魅力的なものになります。
まとめ
テレビの可能性はまだまだ広がっていくと考えられます。
その他の媒体が進化しているように、テレビ業界も新たな進化や成長、可能性を広げているからです。
テレビの可能性が広がることで、新たなクリエイティブなビジネスも生まれるかもしれません。
今後どのようにテレビ業界が変化していくのか、視聴者目線、クリエイティブ視点、広告主視点、様々な観点で見ていきましょう。
著者・監修者
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1982年生。経営学者／やさしいビジネススクール学長／YouTuber／東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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