日本経営史―明治日本の企業家たち(阿部 武司・大阪大学)
講師プロフィール
私は大阪大学で長年、経営史の講義を担当し、経営史学会・日本経営史研究所・企業史料協議会などでも経営史学の普及に努めてきました。こうした経験を踏まえて、予備知識がなくても理解できる楽しい講義を目指します。
科目概要
この講義では、日本経済の基礎を作ってくれた企業家について学びます。明治期(1868-1912年)は遠い昔のことですが、先人たちは、260年余り続いた江戸時代の遺制を、長所を活かしつつも思い切って変え、アジアで初めて、憲法・議会制度・工業化を実現しました。現在日本の衰退が話題になっていますが、平均寿命が延び続けていること1つをとっても、日本は簡単には滅びません。それは、まず明治期にしっかりした経済的基盤が作られたからでした。
ライブ講義
1. 渋沢栄一(①略歴、②会社・経済団体の創出、③「合本主義」)
渋沢栄一の「合本主義」
SDGs時代に響く日本資本主義の原点とも言える
150年前に説かれた「道徳経済合一説」が、現代の経営課題にどう応えるか
ご期待ください。
「利益と社会貢献の両立」――これは現代企業の永遠の課題です。
しかし、この難題に150年も前に答えを出した日本人がいるのをご存知でしょうか?
本講義では、日本資本主義の父・渋沢栄一の思想と実践から、現代のビジネスに活かせる知恵を探ります。
・渋沢栄一の波乱万丈の生涯
・500以上の会社設立に関与した「合本主義」の真髄
・「道徳経済合一説」と現代のSDGs経営との共通点
など取り上げたいことは山ほどありますが・・・
この講義で、あなたの経営観が一変するかもしれません。
明治の叡智を、現代のビジネスに活かす。そんな知的冒険に、どうぞご参加ください。
2. 中上川彦次郎(①略歴、②三井家略史、③三井の工業化)
中上川彦次郎と三井:老舗企業における大改革の軌跡
300年企業はいかにして近代化を成し遂げたか―現代の組織変革に通じる知恵を探ります。
「伝統を守りながら、いかに革新を起こすか?」
この難題に悩む経営者は少なくないでしょう。
本講義では、日本最古の企業集団・三井における中上川彦次郎の革新的な取り組みを紐解きます。
・300年の歴史を持つ三井の近代化の瞬間
・外部人材・中上川彦次郎が成し遂げた大改革の全容
・伝統産業から近代工業への転換戦略とその現代的意義
など取り上げたいことは山ほどありますが・・・
組織のDNAを受け継ぎながら、大胆な変革を成し遂げた中上川の手腕から、
現代の組織変革のヒントが見えてくるはずです。
3. 岩崎弥太郎(①略歴、②近代的海運業、③三菱財閥)
岩崎弥太郎と三菱という幕末・明治の激動期を生き抜き、一代で財閥を築いた男の経営哲学
「ゼロから事業を立ち上げ、いかに大企業に育てるか?」
この永遠のテーマに、明治の実業家はどう挑んだのでしょうか。
本講義では、三菱財閥を創業した岩崎弥太郎の驚異的な成功ストーリーに迫ります。
・幕末動乱期を生き抜いた岩崎の戦略眼
・海運業から総合財閥へ、事業拡大の秘訣
・政府との関係構築から学ぶ、公共政策の活用法
など
一代で財閥を築き上げた岩崎の手腕には、
現代のスタートアップ戦略にも通じるものがあります。
4. 山辺丈夫(①略歴、②大阪紡績、③紡績連合会)
山辺丈夫と紡績業。近代日本の基幹産業を築いた男から学ぶ、競争と協調の均衡を見ます。
「同業他社と競争しながら、いかに業界全体の利益を追求するか?」
このジレンマに、どう向き合えばよいのでしょうか。
本講義では、日本の近代紡績業を牽引した山辺丈夫の取り組みに注目します。
・大阪紡績の創業と急成長の軌跡
・紡績連合会設立の背景と目的
・国際競争力強化に向けた業界団体の役割
など
個社の利益と業界全体の発展を両立させた山辺の手腕は、
現代の業界団体運営にも大いに参考になるはずです。
明治の知恵で、あなたの業界の未来を創る。
そんな可能性に満ちた講義に、ぜひご参加ください。
さらなるアウトプットをしたい方へ
アドバンスドなチャレンジをしたい方向けに、特別な問題を用意しています。
学長からフィードバックいたしますので、ぜひ挑戦してみてください。
あわせて学長との面談を活用して、疑問質問など追加の質問もしてみてください!
参考書籍
『日本経営史-江戸から令和へ・伝統と革新の系譜〔第3版〕』有斐閣 宮本又郎・阿部武司・宇田川勝・沢井実・橘川武郎(2023)