心理資本
Psychological capital
- 長期にわたって安定的なパフォーマンスを発揮できるかどうかは、あなたのメンタルコンディション次第。その意味で、人的資本、関係資本に続く第3の資本として登場したものが心理資本。
- 職務経験のなかで積み上げ、育んでいく。希望がもてること:Hope、根拠のある自分への信頼:Efficacy、困難な状況を乗り越えられる心:Resilience、根拠などなくともなんとかなると思える心、Optimismからなる。
安定した仕事とは、組織が潰れないことではなく、個人が潰れないことである
関連ワード
心理資本とは
人的資本、関係資本に並ぶ第3の資本として、21世紀に入ってから提唱されるようになった概念です。メンタルをやられやすい現代社会のなかでは、個人としても、また組織としても、人々のメンタルにこそ配慮しなければ、パフォーマンスを高めることはできないのです。この意味で、健康経営の文脈でも重視されることが多い概念です。
大切なことは、メンタルの健康さもまた蓄積的に作られるものだということです。困難な状況でも、なんとかなるさと思えるかどうかは、あなたの過去の経験が成せる技です。気晴らしの方法や、自分なりの問題に向き合う姿勢なども、経験的に身に付けられます。キャリアのどのタイミングからでも、自分のメンタルを上手に管理する方法を、身に付けなければいけません。
特に近年注目されているのが「レジリエンス」、困難から、回復する精神力です。スポーツ科学では昔からリバウンドメンタリティの名で注目されていました。悔しい状況、辛い状況を、どうやって乗り切るか。その術こそ、個人としても、社会としても、磨いていく必要が唱えられています。
事例紹介
イチロー
■日本人でありながらメジャーリーグで19年という長きに渡って活躍し続けたイチロー。彼は、天才的なバットコントロールや身体能力はもちろん、心身のコンディショニングにも長けた超一流選手でした。
■イチローはこんな言葉を残しています。「平常心でいれば、素晴らしいパフォーマンスを発揮できる可能性がある。もし、プレッシャーやいら立ち、その他の要因によって、平常心でいられなくなってしまったら、うまくいかないはずだ」と。つまり、どんな辛い状況、難しい状況でも平常心でいられればいつも同じような結果が得られるということです。
■それを実現するためにルーティーンという手法を使っていました。翌日の試合開始時間から逆算して寝る時間、起きる時間などもすべて決まっていました。マリナーズ時代には毎日ブランチにカレーを食べていたことも有名です。「美味しくない」などの不確定要素で気持ちの落ち込みなどを防ぐためにこのような習慣を取り入れていたといいます。こうした厳しい自己管理能力が日米通算4367安打という前人未到の記録に至らせたのです。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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