ポーターの一般戦略分析(Porter’s generic strategy)
- 利益の源泉は、高い利幅で販売できるか、コストで相手に秀でるか、しかない。前者を実現するには、差別化、後者を実現するには、コスト競争力でリーダーとなること。
- 市場を確保する手段も大きく2つ。大きな市場でシェアを取るか、ニッチを寡占するか。この2軸で4分類する、市場での位置取りの基本分析方法。
どういう狙いの位置取りかが不明瞭だと収益をあげにくい。自社の位置取りを明確にすること。
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ポーターの一般戦略分析とは
自社と競合が、どう争っているのか、その競争状況をとらえるための基本フレームワークです。経営戦略論の大家マイケル・ポーター教授による分析手法のひとつで、ポーターによる手法は他に5要因分析や、バリューチェーン分析などがあります。
相手に勝る利益の源泉は、高い価格かコストでの優越性のどちらかしかありません。そしてまた、相手に勝る市場の支配は、大きい市場でシェアを取るか、小さいすき間市場(ニッチ)を押さえるか、しかありません。
競合と自社との位置取りを描き出したうえで、「この産業における狙い目はどこか」を考えます。より儲かりやすい位置取りがあり、そこを自社が狙えそうなら、製品戦略を改めて自社でそこを狙いにいきます。
もし今の自分の位置取りがもっとも魅力的であるなら、そこに他社が入れないように死守します。技術優位性や、流通の確保、生産能力の増強、ブランドの確立など、さまざまな移動障壁をつくり、自社の地位を盤石にします。
事例紹介
ナイキ スポーツアパレルという独自地位
■スポーツ用品とアパレルには、かつては明確な線引きがありました。スポーツ用品として靴やジャージ、シャツを販売していたとしても、消費者も競合他社もそれはファッション品とは全く違うものだと考えていたのです。
■ナイキはスポーツウェアをファッションにするという革新を成し遂げました。1980年代からバスケットボールブームに乗って、当時のスーパースター、マイケル・ジョーダンとタイアップした「エアマックス」が大ヒット。スポーツウェアが流行の最先端となりました。もはやナイキはスポーツブランドではなく、ファッションブランドとして消費者に認知されるようになったのです。
■その後も、ブランド力・技術力を高め、一般的なアパレルとは一線を画す「差別化ニッチ」の地位を確立します。現代では世界中で年間4兆円近い売上高をあげ、世界の有力アパレルブランドとなっています。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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