ビジネススクールは、ビジネスを学べる学校です。
しかし、一部では「ビジネススクールに通っても意味がない」という人もいます。
そこで「本当にビジネススク―ルは意味がないのか?」「ビジネススクールが意味ないと言われる理由」について解説します。
ビジネススクールが意味ないと言われる理由
ビジネススクールに通うのは、意味がないと感じてしまう人もいるかもしれません。
意味がないと言われる主な理由は、6つあります。
それぞれの理由から「自身にビジネススクールが合っているか」を検討してみてください。
コストが高い
ビジネススクールには高額な学費がかかります。
そのため、費用が投資に見合わないと考える人もいるのです。
たとえば、MBAプログラムの場合、一年間で数百万円から数千万円の学費が必要になります。
しかし、ビジネススクールのコストに対する投資価値は、卒業後の将来の収入やキャリアのアップによって回収されるケースもあるため、必ずしも投資に見合わないとは言えません。
資格よりも実務経験が重視されることが多い
ビジネススクールが意味ないと言われる理由の一つに、資格よりも実務経験が重視される傾向が多い点が挙げられます。
採用において、実務経験を重視する企業がほとんどです。
特に、マネジメントに関する職種においては、実務経験が必要不可欠とされています。
そのため、ビジネススクールの卒業生であっても、実務経験が浅い場合には、採用に有利になるとは言えません。
勉強している間に市況が変わる可能性がある
ビジネススクールで学ぶ内容は、一般的には経営学、マーケティング、会計、統計学、ビジネス戦略などです。
これらの知識は、ビジネスの基本的な概念や原則を理解するために非常に役立ちます。
しかし、ビジネス環境は常に変化しており、市況が急激に変動する場合もあるでしょう。
そのため、ビジネススクールで学んだ内容が実際のビジネスに直結するかどうかは、その時の状況によって大きく変わってしまいます。
ネットで情報を得られる
ビジネススクールが意味ないと言われる理由のひとつに、「ネットで情報を得られる」という点があります。
インターネットの普及により、ビジネスに関する情報の収集が容易になったために、ビジネススクールに通う必要がないと考える人も増えているのです。
しかし、ネット上で得られる情報は、信頼性や質にばらつきがあります。
特にビジネスにおいては、正確な情報や適切な知識を持つことが非常に重要なので、ビジネススクールの内容を、必ずしもインターネット上で学べるとは限りません。
独占業務がない
ビジネススクールで得た知識やスキルは、実務で必ずしも活かせるとは限りません。
ビジネススクールでは一定の枠組みの中で学ぶケースが多いため、実務においてはそれぞれの企業や業界によって異なる問題に対して、異なるアプローチが求められます。
また、ビジネススクールで得た知識やスキルが、現実のビジネスのスピード感や複雑性に対応できるかどうかも不透明です。
専攻によっては就職に不利
ビジネススクールの専攻によっては、就職に不利になる場合があります。
例えば、ある特定の分野に特化した専攻を取った場合、その分野で就職できなかった場合には、他の分野に就職する際にも不利になってしまうでしょう。
また、一部の企業では、専攻によっては求人枠が限られている場合があります。
このような場合、他の分野に就職する際に競争力が低くなってしまうのです。
ビジネススクールに行かなくても成功する人たちの特徴
ビジネススクールは、どんな人にも適しているとは言えません。
当然ではありますが、ビジネススクールに通わなくても、ビジネスで成功を収めている人はいます。
以下では、ビジネススクールに行かなくても成功する人の特徴を紹介するので、自身が当てはまるかどうか、確認してみてください。
経験や実践的なスキルが豊富
ビジネススクールでは、経営学やマーケティング、財務管理、人事管理などのビジネスに関する知識を学べます。
しかし、実践的なスキルや経験を既に持っている人は、ビジネススクールで学ぶよりも実務経験を積んだり、現場での実践的なスキルを磨いたりする方が重要です。
すでに実践的なスキルや経験を持っている人にとっては、ビジネススクールで学ぶ必要がありません。
ただし、ビジネススクールで新しい知識や情報を取得し、ビジネスの世界での視野を広げることはできます。
熱意や意欲がある
熱意や意欲がある人は、自己学習や自己実践を通じて自ら学習します。
自己啓発書やビジネス書、オンラインコース、セミナー、インターンシップなどを利用し、自己成長に取り組んでいる人もいるでしょう。
このように、自分で自己成長を促進できる人は、ビジネススクールに行かなくても、成功できる可能性が高いです。
自己学習能力が高い
自己学習能力が高い人は、自分で必要な情報を収集し、自分で学習します。
また、自分で学んだ内容を実践して経験を積み、スキルを磨いていく傾向があるのです。
そのため、自己学習能力が高い人たちは、ビジネススクールに通う必要がないと言えます。
ただし、すべてのことを自分で学べるわけではないので、自分に足りない内容を補うためにビジネススクールに通うといった選択肢もあります。
周りの人脈を大切にする
周りの人脈を大切にする人たちは、ビジネススクールに行かなくても成功する可能性が高いと言えます。
なぜなら、ビジネススクールで学ぶ内容の一つにネットワーキングや人脈形成の重要性があるためです。
元々人脈を大切にできる人であれば、ビジネススクールに通わなくても、自然な形で人脈を広げられるでしょう。
また、人脈を大切にできる人の多くは、自分自身をブランディングしたり売りこんだりすることが得意です。
そのため、ビジネススクールで学ぶ必要がない場合があります。
ビジネススクールのデメリット
ビジネススクールにはいくつものメリットがありますが、当然デメリットもあります。
デメリットから「ビジネススクールは意味がない」と感じる人もいるかもしれません。
以下で主なデメリットについて解説します。
時間がかかる
ビジネススクールに通うには、多くの場合、数年の時間がかかります。
例えば、MBA(経営学修士)を取得するには、通常2年から3年の学習期間が必要です。
そのため、仕事を持っている人や家庭がある人は、学業に時間を割くことが困難になる場合があります。
また、ビジネススクールで学ぶ内容は、実務経験を積んでから理解できるものが多いため、ビジネススクールの学生が卒業してから実践的なスキルを身につけるまでにも時間がかかってしまうでしょう。
実践的な経験が不足する
ビジネススクールでは、ビジネスに関する理論や概念、事例を学べます。
しかし、実際にビジネスを行う上で必要な実践的なスキルや経験を得るのは難しいです。
ビジネススクールの授業やカリキュラムは、理論的な学習が中心となっており、実際のビジネス現場での経験やスキルの習得はできません。
そのため、学生は卒業後に初めてビジネス現場で経験を積むことになります。
ビジネススクールは本当に意味がないのか?
ここまで、ビジネススクールが意味がないと言われる理由や、デメリットについて解説してきました。
しかし、本当にビジネススクールは意味がないのでしょうか。
- 個人の目的や状況による
- 経験や人脈などを得られる場合も多い
- 高い教育レベルやグローバルな視野が必要な場合は有効
上記3つの観点から、ビジネススクールの利用用途について解説します。
個人の目的や状況による
ビジネススクールが必要かどうかは、個人の目的や状況によって異なります。
例えば、MBAプログラムは経営者やリーダーを目指す人に向いており、デジタルマーケティングプログラムはデジタルマーケティングに興味がある人に向いています。
そのため、自分の目的や興味に合わせて適切なプログラムを選べば、意味がないとは感じないでしょう。
また、ビジネススクールに入学する前に既に実務経験を豊富に持っている場合や、自分で起業している場合などは、ビジネススクールに通う必要性が少ないかもしれません。
しかし、経験が浅い場合や、新しい分野に挑戦したい場合は、ビジネススクールに通うことで自分自身のスキルアップやキャリアアップにつながる可能性があります。
実際の業務などで実践を積んできた方でも、全てのマーケティング手法などについて十分に理解しているか?というとそうではないのが実情です。自信の腕をもっと磨くためにもビジネススクールでの学びは必要といえます。
経験や人脈などを得られる場合も多い
ビジネススクールは、多くの場合、高額な学費が必要であり、多くの時間を費やす必要があります。
しかし、学ぶ意欲が強い社会人、スキルアップを図る経営者などより、前向きなマインドを持ち合わせた仲間と出会えるという機会でもあります。
自己学習やオンラインコースなど、より手軽な方法でビジネススクールで得られる知識やスキルを習得できることにプラスして、向上心のあるメンバーとの出会い、ディスカッションの場を得ることができるためビジネススクールで学習する専門性の高い考えや手法に加え、有力な人脈、経験者の実践的な意見までを得ることができるというメリットもあります。
高い教育レベルやグローバルな視野が必要な場合は有効
ビジネススクールは、高度なビジネス知識や実務経験を得るための教育機関です。
高い教育レベルやグローバルな視野を身に付けられます。
そのため、ビジネススクールで学ぶことで、視野を広げ今までとは違う考えや可能性に気づく方も大勢います。ビジネススクールへの参加がきっかけで今後のキャリア展開についても
優れた企業やビジネスパートナーとのつながりを作り、キャリアアップの可能性を広げられるでしょう。
今後、よりキャリアアップしたい人には、大いに意味があると言えます。
ビジネススクールで意味を感じられる人の特徴
ビジネススクールに通うことについて「意味がある」と感じる人、「意味がない」と感じる人、どちらの考え方の人もいるでしょう。
以下では、どのような人がビジネススクールに意味を感じられるかについて解説します。
キャリアアップを目指す人
キャリアアップを目指す人にとってビジネススクールは適していると考えられます。
ビジネススクールでは、経営やビジネスに関する幅広い知識やスキルを学べるからです。
また、ビジネススクールには多くの実務経験を持った講師がおり、ビジネスに関する最新の情報や実践的な知識を教えてくれます。
これらの学びは、キャリアアップにつながることが多いので、有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
経営者を目指す人
経営者を目指す人には、ビジネススクールが適していると言えます。
経営に必要な知識やスキル、戦略的思考、リーダーシップなどの重要な要素を学べるからです。
また、ビジネススクールでは実践的なプログラムや実績豊富な教授陣からのアドバイス、ビジネスに関するネットワークなどが提供されることが多く、将来的に起業を考えている人にとっては非常に有益な知識になるでしょう。
グローバルで活躍したい人
現代のビジネスはグローバル化が進んでおり、異なる文化や言語を理解し、異なるビジネス環境への適応が求められています。
ビジネススクールでは、国際ビジネスに関する知識やスキル、異文化コミュニケーションに必要な語学力などを学べるので、グローバルで活躍したい人には適していると言えるでしょう。
また、多くのビジネススクールでは、グローバル企業とのパートナーシップを持ち、海外でのインターンシップや留学プログラムを提供しているため、有用な学習環境となります。
交流やネットワークを広げたい人
ビジネススクールは、交流やネットワークを広げたい人に適していると言えるでしょう。
ビジネススクールは、同じような志向を持った人々が集まり、交流やネットワークを広げる場を提供しています。
また、ビジネススクールは、卒業生のネットワークやアルムナイの会員制度など、長期的な人脈の構築をサポートするケースもあります。
このような人脈は、将来のキャリアやビジネスの成功にとって重要な役割となるでしょう。
ビジネススクールを有効に活用するためには
ビジネススクールに対して、意味がないと感じるかどうかは、その人次第と言えます。
何の目的などもなくただビジネススクールに通うだけでは、意味がないと感じてしまうのも当然です。
そのため、ビジネススクールに通う場合には、以下の5つを意識してみてください。
- 目的を明確にする
- ネットワークを広げる
- 実践的な経験を積む
- 自己投資に見合ったリターンを得る
- 継続的な学びと成長
- ビジネススクールの種類を知る
それぞれを意識してビジネススクールに通えば「意味がある」と感じられる学びにつながるでしょう。
目的を明確にする
ビジネススクールを有効に活用するためには、まず目的を明確にしましょう。
自分がどのようなキャリアを目指しているか、どのようなスキルや知識を身に付けたいかを明確にすることで、ビジネススクールで何を学ぶべきかを具体的に把握できます。
例えば、自分が経営者を目指している場合、ビジネススクールでは経営戦略やマーケティング、財務管理、リーダーシップなどの専門的な知識を学ぶことが重要です。
また、起業を考えている場合は、ビジネスプランの作成や資金調達の方法など、実践的なスキルの習得を目標としましょう。
また、目的が明確になることで、学習に対するモチベーションが高まり、より効果的な学習が可能になります。
ネットワークを広げる
ビジネススクールを有効に活用するための方法として「ネットワークを広げる」のは重要なポイントです。
ビジネススクールには、様々な背景や専門性を持った学生や教員が集まっています。
そのため、多様なビジネス関連の知見や経験を持った人々と交流し、自身の視野を広げられるのです。
具体的にネットワークを広げるためには、授業中やグループワーク中などで積極的に他の学生とコミュニケーションを取りましょう。
また、キャリアセンターやアルムナイ団体のイベントなど、ビジネススクールで開催される様々なイベントに参加するのも有効です。
他の学生や教員と出会い、コミュニケーションを取ることで、ビジネススクールで得られる知見をより深め、将来のキャリアにつながる人脈を築けるでしょう。
実践的な経験を積む
ビジネススクールを有効に活用するためには、単に講義を受けるだけでなく、実践的な経験を積むことが重要です。
ビジネススクールで学んだ内容を実際のビジネスに取り入れたり、ビジネスコンテストやインターンシップなどのプログラムに積極的に参加したりすると良いでしょう。
ビジネススクールでは、経営理論やビジネスの基礎知識を学べますが、実践的な経験を積まなければ、その知識を実際のビジネスにどのように適用すれば良いかがわからないまま終わってしまいます。
ビジネスコンテストやインターンシップに参加することで、現実のビジネスに触れ、実践的なスキルを身につけられるでしょう。
自己投資に見合ったリターンを得る
ビジネススクールを有効に活用するためには、自己投資に見合ったリターンを得ることが重要です。
つまり、ビジネススクールに投資する時間とお金が、将来的に自分自身や事業にどれだけの価値をもたらすかを考慮する必要があります。
具体的には、自分が学びたい分野や業界、キャリアの方向性を明確にし、その分野で活躍するビジネススクールやプログラムを選ぶようにしてください。
また、自分の目標やニーズに合ったカリキュラムを選び、卒業後に実践的なスキルを身につけられるプログラムを選ぶと良いでしょう。
さらに、ビジネススクールには多くの場合、キャリア支援サービスやインターンシップ、企業との連携プログラムなどがあります。
これらのサービスを利用することで、実際に企業や業界の内部で働く機会が与えられ、将来的に自己投資に見合ったリターンを得られます。
継続的な学びと成長
ビジネススクールを有効に活用するためには、継続的な学びと成長が必要です。
卒業後も学びを続け、自己啓発に努めることで、将来的なキャリアアップやビジネス成果の向上につながる可能性があります。
具体的には、ビジネススクールで学んだ知識やスキルを定期的に復習し、実務に応用してください。
また、新しいビジネストレンドやテクノロジーの動向など、常に最新情報を収集し、自分自身のビジネスに取り入れるよう心がけましょう。
さらに、継続的な学びの一つとして、ビジネス関連の書籍や記事を読むことや、業界イベントやセミナーに参加することも有効です。
これらの取り組みによって、自己投資に見合ったリターンを得られるでしょう。
ビジネススクールの種類を知る
ビジネススクールと一重に言ってもいくつもの種類があるので、事前に種類を理解しておきましょう。
種類や特徴を知らずに入学してしまうと、自分の思い描いていた学習ができず「意味がない」と感じてしまうかもしれません。
以下に主なビジネススクールの種類や特徴をまとめたので、ビジネススクール選びの参考にしてください。
- MBA(Master of Business Administration)…ビジネスにおける基礎的な知識から、戦略的なマネジメント、経営戦略、財務、会計、マーケティングなどの高度な専門知識を学べます
- EMBA(Executive MBA)…ビジネスマンや経営者を対象としたプログラムであり、週末や夜間の授業が中心
- MPA(Master of Public Administration)…公共部門や非営利団体などで働くことを目的としたビジネススクール
- MPA(Master of Public Administration)…MBAプログラムと比較すると、より入門的な内容
- MS/MSc(Master of Science)…MBAと比較してより専門的で、より技術的なスキルにフォーカスしている
ビジネススクールの種類について詳しく解説している記事はこちら>>
まとめ
一部では、ビジネススクールは意味がないと言われています。
しかし、誰に対しても意味がないわけではありません。
目的を持っていたり、今後につなげたりする場合においては、ビジネススクールを有効的に使える場合もあります。
周囲の意見も重要ですが「自分にとって必要かどうか」「どのように活用できるか」を考慮した上で、ビジネススクールを検討しましょう。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
詳しい講師紹介はこちら website twitter facebook youtube tiktok researchmap J-Global Amazon
専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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