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デファクト・スタンダードとは?わかりやすい例や今後の動向まで解説

デファクト・スタンダードとは、業界の標準として認められるようになった規格を指します。

直訳すると「事実上の標準」です。

では、実際にデファクト・スタンダードは、どのような例があるのでしょうか。

今回の記事では、デファクト・スタンダードの例やメリット・デメリット、今後の動向について解説します。

目次

デファクト・スタンダードとは?

「デファクト・スタンダード」とは、市場や業界で広く受け入れられている技術や手法です。

公式な規格がない場合に、デファクト・スタンダードは市場で最も一般的な方法を反映できます。

デファクト・スタンダードは、業界内で広く採用されている技術や手法であり、一定の品質や信頼性があることが期待されますが、公式な規格がないため、標準化が不十分である場合もあります。

デファクト・スタンダードと公式な規格の違い

「デファクト・スタンダード」と「公式な規格」は、異なる種類の規格です。

それぞれの違いを、以下の表にまとめました。

公式な規格デファクト・スタンダード
規制力の有無国際的に認められている規格機関が策定した規格であり、法的な拘束力を持つ市場や業界で広く受け入れられている技術や手法であり、法的な拘束力はない
規格化のプロセス規格機関が専門家や業界関係者を集めて策定するプロセスを経て作られる一定の品質や信頼性は期待できますが、規格化が不十分である場合がある
適用範囲規格機関が策定した特定の分野に適用特定の分野に限定されない

以上のように、「公式な規格」と「デファクト・スタンダード」は、いくつかの点で異なるので、それぞれの規格の特徴を理解し、適切に活用しなければいけません。

デファクト・スタンダードがなぜ重要なのか?

デファクト・スタンダードの重要性については、以下4つのポイントがあります。

  • 進化する市場において必要不可欠
  • 標準化の促進
  • 初期の技術選定に役立つ
  • 業界内でのコミュニケーションの円滑化

デファクト・スタンダードは、業界発展に欠かせないものであり、標準化やコミュニケーションの円滑化に大きな役割を果たします。

デファクト・スタンダードの例

デファクト・スタンダードの例

デファクトスタンダードのいくつかの例について解説します。

  • インターネットプロトコル
  • Webブラウザ
  • スマートフォン
  • ワープロソフト

それぞれがなぜデファクト・スタンダードとして位置付けられているのか、解説します。

インターネットプロトコル

インターネットプロトコルは、代表的なデファクト・スタンダードの1つです。

インターネット上で通信を行うためのルールや規約の集合体であり、TCP/IPと呼ばれるプロトコルスイートによって構成されています。

デファクト・スタンダードとして広く普及しており、インターネット上での通信において必要不可欠な存在です。

そのため、多くのネットワーク機器やソフトウェアがインターネットプロトコルに対応しており、一定の品質や信頼性が期待されるようになっています。

当初はアメリカ国防総省の研究機関であるARPA(Advanced Research Projects Agency)が開発したものでしたが、その後、民間でも広く利用されるようになり、現在ではインターネットを支える基盤技術となっています。

ブラウザ

Webブラウザは、ユーザーインターフェースや機能など、多岐にわたる要素からなるため、ユーザーの好みによって好まれるブラウザは異なります。

しかし、Webページ制作者が最適化するためには、市場での利用率が高いWebブラウザに対応することが重要となっており、市場占有率の高いブラウザがデファクト・スタンダードとしての地位を確立しています。

スマートフォン

スマートフォンは、従来の携帯電話とは異なり、タッチスクリーンやマルチタッチ、アプリケーションなどの機能が豊富に搭載されています。

また、AppleのiOS、GoogleのAndroid、マイクロソフトのWindows Phoneなど、様々なOSが存在しており、それぞれがデファクト・スタンダードとしての地位を確立しています。

ワープロソフト

ワープロソフトは、パソコンが普及した1980年代以降、デファクト・スタンダードとしての地位を確立しました。

当初は、マイクロソフトのMS-DOSが主流であり、その上で、当時の主要なワープロソフトとしては、WordStarやWordPerfectなどが挙げられます。

しかし、1990年代になると、マイクロソフトが開発したWindowsが普及し、その上で、マイクロソフトが提供するワープロソフトであるMicrosoft Wordが主流となりました。Microsoft Wordは、Windowsとともに普及し、独自の機能や使いやすさ、互換性の高さなどが評価され、多くのユーザーに愛用されています。

現在でも、Microsoft Wordは、ビジネス文書や学術論文などの作成に欠かせないツールです。

また、オープンソースのワープロソフトであるOpenOffice.org(現在はLibreOfficeに移行)も、一時期、デファクト・スタンダードとしての地位を確立しました。

デファクト・スタンダードのメリット

デファクト・スタンダードが確立されるメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 開発の迅速化
  • コスト削減
  • 業界全体の規格化

なぜデファクト・スタンダードによってそれぞれのメリットが得られるのか、以下で具体的に解説します。

開発の迅速化

デファクト・スタンダードが確立されると、開発の迅速化が期待できます。

なぜなら、デファクト・スタンダードがあることで、開発の効率が向上するからです。

例えば、ウェブ開発においては、HTMLやCSSなどの技術がデファクト・スタンダードとして確立されています。

これらの技術に従って開発することで、様々なブラウザやデバイスに対応したウェブページを開発できます。

もしデファクト・スタンダードが存在しなかった場合、開発者はそれぞれ独自の手順や方法で開発を進める必要があり、開発の手間や時間がかかってしまうでしょう。

また、デファクト・スタンダードが確立されていると、開発者は既存の知識や技術を流用できます。

コスト削減

デファクト・スタンダードは、コスト削減につながります。

デファクト・スタンダードがあると、開発者が必要とする技術やツールが充実しているケースがほとんどだからです。

例えば、ウェブ開発においては、HTMLやCSSなどの技術がデファクト・スタンダードとして確立されており、それに合わせたライブラリやフレームワークが豊富に存在します。

このようなツールを活用することで、開発者は自分でコードを書く必要がなくなり、開発コストを削減できるのです。

また、デファクト・スタンダードがある場合、既存の製品や技術との互換性が高まります。

これにより、開発者は既存の製品や技術を活用でき、新しい技術を開発するためのコストを削減できるのです。

さらに、デファクト・スタンダードがある場合、情報やノウハウが共有されている場合があるため、より効率的に開発を進めることができ、コスト削減につながります。

業界全体の規格化

デファクト・スタンダードの採用は、業界全体の規格化に貢献する可能性があります。

特定の技術や製品がデファクト・スタンダードとして認められると、他の企業も同様の製品や技術を開発することが期待され、市場全体が均質化されるのです。

例えば、スマートフォン市場においては、Apple社のiPhoneがデファクト・スタンダードとして認められています。

そのため、競合他社も同様のタッチスクリーン方式や操作性を持ったスマートフォンを開発することが期待され、結果としてスマートフォン市場全体の規格が統一されたといえます。

業界全体の規格化は、製品の相互運用性を高めるためにも重要です。

異なる製品同士でも互換性を確保することで、消費者はより広範な製品を自由に選択でき、市場競争も促進されます。

また、企業側も、製品の開発や販売において標準化された環境を持つことで、コストや時間の節約が可能となり、競争力を維持できます。

デファクト・スタンダードのデメリット

デファクト・スタンダードには、メリットと同時にデメリットもあります。

主なデメリットは、以下の3つです。

  • 競争の制限
  • 標準化の欠如
  • 利益の偏り

デファクト・スタンダードでなぜ上記のようなデメリットが生じてしまうのか、以下で解説します。

競争の制限

デファクト・スタンダードの採用が広まると、製品や技術に関する市場支配力が高まり、他の企業が市場参入する障壁となります。

そのため、デファクト・スタンダードの採用が競争を制限する可能性があるとされているのです。

例えば、MicrosoftのWindowsがパソコンのオペレーティングシステムのデファクト・スタンダードとして広く採用されていることから、他社が新規参入する際にWindowsとの互換性を考慮しなければならず、市場参入の障壁となることが指摘されています。

また、デファクト・スタンダードの支配力が高まると、その製品や技術に対する価格設定が支配的な企業によって独占的に行われる可能性があるのです。

そのため、消費者が高い価格を支払わざるを得なくなったり、市場における競争が制限されてしまいます。

標準化の欠如

デファクト・スタンダードが定着すると、標準化の欠如が生じる可能性があります。

デファクト・スタンダードは、市場で成功している製品や技術に対する規範や取り決めではなく、あくまでも市場の中で自然発生的に形成されたものです。

そのため、デファクト・スタンダードが広く採用された場合には、その製品や技術に関する標準化が不十分である可能性があります。

例えば、インターネットプロトコルがデファクト・スタンダードとして定着したことで、様々な企業や団体がインターネットを利用するようになりました。

しかし、その一方で、インターネットプロトコルに関する標準化は、長期にわたって行われなかったため、インターネット上でのセキュリティやプライバシーの問題が生じてしまったのです。

さらに、デファクト・スタンダードが広く採用された場合には、その製品や技術に関する標準化が、競合他社間での取り決めによって行われることがあります。

この場合、標準化が一方的な利益を持つ企業によって行われるため、市場の均衡や公正な競争を損ねることが懸念されます。

利益の偏り

デファクト・スタンダードは、その分野で最も普及している技術や製品を指します。

つまり、一部の企業や団体が利益を独占する可能性があるのです。

例えば、特定のソフトウェアが業界で広く使われるようになると、そのソフトウェアを製造する企業が競合他社よりも有利になり、市場シェアを拡大できてしまいます。

また、デファクト・スタンダードが支配的な市場においては、他の企業や団体がその市場に参入することが困難になります。

これは、新しい規格を採用するためには、既存の規格との互換性や市場の規模などの問題があるためです。

そのため、新しい規格を導入するためには、高い開発コストや時間が必要になります。

デファクト・スタンダードの今後の動向

デファクト・スタンダードは、今後インターネットの進化によって大きく変化すると考えられます。

とくに大きく変化すると考えられているのは、以下の3つです。

  • クラウドコンピューティングが普及するにつれ、オープンソースのコンポーネントがデファクト・スタンダードとして利用されることが増えていくと予想される
  • ブロックチェーン技術がデファクト・スタンダードとして認められる
  • 5G通信技術がデファクト・スタンダードとなり、ビジネスや社会の変革が進むと予想される

上記のように、インターネットの進化によるデファクト・スタンダードが続々と生まれると予想されるため、今後のインターネットの進化においても、チェックしておく必要があります。

例えば…ブロックチェーン技術がデファクト・スタンダードとして認められたら?
  1. 企業の採用が増加する:
    ブロックチェーン技術がデファクト・スタンダードとなることで、企業はその技術を採用することで、利便性やセキュリティの向上などのメリットを享受することができるようになるため、採用が増加する可能性があります。
  2. ブロックチェーン技術の適用範囲が広がる:
    デファクト・スタンダードとなることで、ブロックチェーン技術を適用できる範囲が広がる可能性があります。これにより、金融取引や医療、製造業など、様々な産業において利用されることが期待されます。
  3. 開発者のコミュニティが拡大する:
    デファクト・スタンダードとなることで、その技術を開発するためのコミュニティも拡大する可能性があります。これにより、新しいアプリケーションやサービスが生まれ、更なるイノベーションが促進されることになるかもしれません。
  4. 法規制・規定の整備が必要になる:
    ブロックチェーン技術が市場で広く利用されるようになる場合、その技術に対する法規制や規定の整備も必要になる可能性があります。特に、個人情報や金融取引など、重要なデータを扱う場合は、正確な規制が求められます。

など、このような世の中になることも予想できます!

デファクト・スタンダードについてのまとめ

デファクト・スタンダードは業界全体の規格化や開発の迅速化、コスト削減などのメリットがある一方、競争の制限や標準化の欠如、利益の偏りなどのデメリットもあります。

技術や製品の普及に関わる企業や業界は、メリット・デメリットを理解した上で、今後のデファクト・スタンダードにも注目しておきましょう。

また、市場で競争する企業は、デファクト・スタンダードに関する情報を把握し、新しい技術の普及促進に取り組む必要があります。開発に力を入れるなどの企業努力が必要とされるでしょう。

著者・監修者

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