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セグメンテーションとは?やり方や事例を簡単に解説

マーケティングにおいて「セグメンテーション」という方法があります。

セグメンテーションは、市場を細分化して分類し、自社の製品やサービスをどの層に、どのようなアプローチが効果的かを練るための方法です。

本記事では、セグメンテーションの事例ややり方について解説します。

自社の製品やサービスの売上アップのために、セグメンテーションを理解しておきましょう。

目次

セグメンテーションとは?

セグメンテーションとは?

セグメンテーションとは、市場や顧客を複数のグループに分けるマーケティング手法です。

特定の市場セグメントに対して、より効果的なマーケティング戦略を実施するために使用されます。

マーケティングの観点から、市場セグメントは、商品やサービスを提供する上での共通のニーズ、興味、行動パターン、購買力、ライフスタイルなどの特性に基づいて定義されます。

例えば、ある自動車メーカーが、市場を「若いスポーツ愛好家」と「家族向け」の2つに分けたとしましょう。

この場合、前者にはスポーツカーのプロモーションを行い、後者にはSUVのプロモーションを行うなど、それぞれの市場セグメントに合わせたマーケティングを実施できます。

セグメンテーションとターゲティングの違い

ターゲティングは、ある特定のセグメントに対して、製品やサービスを提供することを目的とします。

あるセグメントに重点を置き、そのセグメントのニーズや要求に応じたマーケティング戦略を実施することを意味しているのです。

つまり、セグメンテーションは、市場全体をいくつかのグループに分割するための手法であり、ターゲティングは、特定のセグメントに焦点を当てた戦略を実行するための手法です。

両方を組み合わせることで、より効果的なマーケティング戦略を策定できます。

セグメンテーションとポジショニングの違い

ポジショニングは、競合との差別化を図り、顧客にとって製品やサービスの独自性や特徴を訴求することを指します。

自社の製品やサービスが、どのように他社と異なるのかを明確にして、その独自性を顧客に認識させることを目的としているのです。

また、ポジショニングは、セグメンテーションに基づいて実施されることが一般的です。

セグメンテーションによって特定したセグメントに合わせたポジショニングを行うことで、競合と差別化し、自社製品やサービスの魅力を顧客にアピールできます。

つまり、セグメンテーションは、市場をいくつかのグループに分割することを指し、ポジショニングは、自社製品やサービスを差別化し、顧客に独自性を訴求することを指します。

なぜセグメンテーションが必要なのか?

セグメンテーションが重要視されるようになった背景には、世の中の変化が関係しています。

主な大きな理由は、以下の2つです。

  • 消費者ニーズの多様化
  • インターネット・テクノロジーの進化

昨今は、消費者の購買行動が大きく変化し、従来の販売方法だけでは、商品やサービスが選ばれなくなっています。

そのため、セグメンテーションのような細分化した考え方が重要になるのです。

以下では、それぞれがどのように変化し、それに対してなぜセグメンテーションが必要になるのか、具体的に解説します。

消費者ニーズの多様化

消費者ニーズの多様化が進む中、マーケティング活動においても、一つの市場全体に向けたマーケティング戦略ではなく、より細分化された市場セグメントに対して、個別のマーケティング戦略を展開する必要があります。

例えば、年齢層によって商品に求める価値観が異なる場合、それに合わせて異なるマーケティング戦略を立てることで、よりターゲットに近い消費者にアプローチできるようになるのです。

また、地域性によって消費者の需要が異なる場合、地域に応じたマーケティング戦略を実施できるでしょう。

インターネット・テクノロジーの進化

インターネット・テクノロジーの進化によって、消費者のニーズや行動パターンが変化し、その変化に応じたマーケティング活動が求められるようになりました。

このような変化に対応するために、セグメンテーションが必要とされています。

まず、インターネットを利用する消費者は増加傾向にあり、インターネットを介したマーケティング活動の重要性が高まっています。

しかし、インターネット上にはさまざまな情報や商品があり、消費者のニーズや嗜好が多様化しています。

そのため、全体を一括りにしてマーケティング活動を行うだけでは、消費者の興味を引くことができず、効率的なマーケティング戦略を立てることができません。

また、インターネット上での情報収集や商品購入は、場所や時間を問わず可能になっています。

このため、消費者のライフスタイルや環境に合わせた、より個別化されたマーケティング戦略が求められるようになっているのです。

4つのセグメンテーション変数

セグメンテーションでは、分類する際の基準を4つの変数として分けています。

  • 人口動態変数(デモグラフィック変数)
  • 地理的変数(ジオグラフィック変数)
  • 心理的変数(サイコグラフィック変数)
  • 行動変数(ビヘイビアル)

それぞれを理解して実施することで、より効果的なセグメンテーションを行えるでしょう。

以下では、どのように考えていくのかを、解説します。

人口動態変数(デモグラフィック変数)

人口動態変数は、個人の属性に関する情報を示す変数です。

以下に代表的な人口動態変数をいくつか挙げてみます。

  • 年齢
  • 性別
  • 収入
  • 教育水準
  • 世帯構成

人口動態変数をセグメンテーション変数として利用することで、消費者の属性に応じた細かなセグメンテーションが可能です。

これによって、より効果的なマーケティング戦略を立て、顧客満足度やビジネスの成果につなげられます。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的変数は、地域や場所に関する情報を示す変数です。

以下に代表的な地理的変数をいくつか挙げてみます。

  • 地域
  • 都道府県
  • 市区町村
  • 交通アクセス
  • 地形・気候

地理的変数をセグメンテーション変数として利用することで、消費者の居住地域や場所に応じた細かなセグメンテーションが可能です。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

心理的変数は、消費者の心理状態や行動に関する情報を示す変数です。

以下に代表的な心理的変数をいくつか挙げてみます。

  • パーソナリティ…特徴・性格・行動パターンなど
  • ライフスタイル…価値観・趣味・生活環境など
  • モチベーション…商品やサービスを購入する理由や動機
  • 意識・態度…価値観・信念・好みなど

心理的変数をセグメンテーション変数として利用することで、消費者の心理状態や行動に基づいた細かなセグメンテーションが可能です。

行動変数(ビヘイビアル)

行動変数は、消費者の購買行動に関する情報を示す変数です。

以下に代表的な行動変数をいくつか挙げてみます。

  • 購入頻度・金額
  • 購入履歴・嗜好
  • オンライン行動
  • 反応・応答

行動変数をセグメンテーション変数として利用することで、消費者の購買行動やオンライン行動に基づいた細かなセグメンテーションが可能です。

セグメンテーション4Rの原則

セグメンテーションを実施する際は、細分化したセグメントを評価します。

評価の指標として、以下の4つ(4Rの原則)が用いられます。

  • Rank(優先度)
  • Realistic(有効性)
  • Reach(到達可能性)
  • Response(測定可能性)

それぞれの考え方について、以下で解説します。

Rank(優先度)

4Rの原則の「Rank」は、セグメント内でのランク付けを意味します。

「Rank」の目的は、セグメント内での優先順位をつけ、リソースの最適化を行うことです。

つまり、セグメント内でどの消費者がより重要であるか、あるいはどの消費者に対して優先的にマーケティング戦略を展開するべきかを判断するために使用されます。

「Rank」を決定する際には、セグメントの目的に合わせた適切な指標を使用しなければいけません。

たとえば、セグメントが顧客満足度向上のためのものであれば、顧客満足度指数を使用することができます。

また、売上増加が目的であれば、購買金額や購買回数、新規顧客獲得数などを使用することができます。

ランク付けの結果、より重要な消費者やセグメントが特定された場合には、より多くのリソースを割り当てます。

Realistic(有効性)

4Rの原則の「Realistic」は、セグメンテーションを行う上で現実的であるかどうかを意味します。

セグメンテーションを行うには、十分なデータや情報が必要です。

しかし、必要な情報を収集するためには、費用や時間がかかる場合があります。

また、収集した情報を分析するためには、適切な技術や人材が必要である場合もあるでしょう。

このようなことから、セグメンテーションを行う際には、現実的な範囲内でデータを収集し、分析しなければいけません。

具体的には、以下のような点に注意してください。

  • ターゲットとする市場が現実的であるかどうか
  • 収集したデータが現実的であるかどうか
  • 分析方法が現実的であるかどうか

例えば、ある企業が新規事業のセグメンテーションを行おうとする場合、新しい市場を開拓するために新しいデータを収集しなければいけません。

しかし、収集したデータを分析するためには、特定の技術やツールが必要である場合があります。

その場合、企業が使用できる予算や人材リソースが限られているため、現実的な範囲内でデータ収集と分析を行わなければいけません。

このように、セグメンテーションの実施にあたっては、現実的な制約を考慮に入れながら、最適なデータ収集と分析を行う必要があります。

Reach(到達可能性)

4Rの原則の「Reach」は、マーケティングキャンペーンなどで選んだセグメンテーションのターゲット層に到達することを指します。

どんなに魅力のある商品やサービスでも、物理的な理由などで提供できなかったり価値を届けられなければ意味がありません。

そのため、広告やプロモーションの方法をセグメンテーションの属性や特性に合わせた、適切な手段を選ぶ必要があるのです。

例えば、あるセグメントがオンラインでショッピングをよくするとわかっている場合、インターネット広告やソーシャルメディア広告が効果的です。

反対に、あるセグメントがテレビをよく見ることがわかっている場合、テレビCMが効果的と考えられます。

Response(測定可能性)

4Rの原則の「Response」は、マーケティングキャンペーンを通じて、選んだセグメントの顧客から反応を得ることを指します。

キャンペーンの目的は、ターゲット層に対して適切なメッセージを伝え、それに対する反応を得ることです。

これにより、セグメントの顧客が、提供された情報や商品・サービスに対して、興味を持ち、購入や利用などの行動につなげられます。

セグメンテーションのわかりやすい事例

セグメンテーションは、決して難しい手法ではありません。

大手のセグメンテーション事例を参考にすれば、どのように活用しているのかわかるでしょう。

特にわかりやすい事例として、以下4社のセグメンテーション例を紹介します。

  • ユニクロ
  • メルカリ
  • JINS
  • スターバックス

セグメンテーションを理解するための参考にしてください。

ユニクロの事例

ユニクロのセグメンテーションの事例として、4つの例を紹介します。

年齢層によるセグメンテーション若年層向けには、カジュアルなデザインやポップな色使いのアイテムを展開。年配層向けには、落ち着いた色調やベーシックなデザインのアイテムを展開。
地域によるセグメンテーション日本の北海道や東北地方には、防寒性に優れたアイテムを展開。沖縄には、通年で着用できる薄手のアイテムを展開。
ニーズによるセグメンテーション温性に優れたアイテムや、速乾性に優れたアイテムなど、機能性を重視する顧客向けに、様々なアイテムを展開。
ジェンダーによるセグメンテーション女性向けには、フェミニンなデザインのアイテムを展開。男性向けには、ベーシックでシンプルなデザインのアイテムを展開。

以上のように、ユニクロは、年齢層や地域、ニーズ、ジェンダーなど、様々な要素に基づいたセグメンテーションを行っています。

これにより、幅広い顧客層をカバーし、顧客のニーズに応じたアイテムを提供しています。

メルカリの事例

メルカリのセグメンテーション事例としては、以下のようなものが挙げられます。

性別・年齢層によるセグメンテーション女性向けのファッションアイテムや化粧品、男性向けのスポーツ用品やビジネスアイテムなど。
購買履歴によるセグメンテーションユーザーの購買履歴に基づいて、関連性の高いアイテムを推薦することで、ユーザーのニーズに合った商品を提供。
地域によるセグメンテーション地域に合わせた商品の提供や、地域限定のキャンペーンを実施。

以上のように、メルカリは多角的にセグメンテーションを行い、ユーザーのニーズに合った商品を提供して、顧客満足度を高めています。

JINSの事例

眼鏡ブランドのJINSのセグメンテーションの事例を紹介します。

JINSの顧客セグメントは以下の通りです。

デジタルネイティブなビジネスマンや学生デジタルデバイスを多用している人/ブルーライト対策に関心がある人/オンラインショッピングに慣れている人/デザイン性にもこだわる人
老眼が進んだ中高年視力が低下してきた人/ブルーライト対策やアイウェアケアに関心がある人/シニア層向けのデザインや機能がある商品に興味がある人
スポーツ選手やアウトドア派の人スポーツやアウトドアをする人/プレイ中の眼精疲労やブルーライト対策に関心がある人/高い機能性や耐久性が求められる人

これらのセグメントに合わせて、JINSは商品ラインナップや販売戦略を展開しています。

例えば、デジタルネイティブ向けには、PC作業用やスマートフォン用のブルーライトカット眼鏡を展開。

また、老眼が進んだ中高年向けには、度付きメガネのラインナップや老眼鏡用のブルーライトカット眼鏡もあります。

スポーツ選手やアウトドア派向けには、運動中にズレないように設計された眼鏡や、汗や水に強いコーティングが施された商品も展開しています。

スターバックスの事例

スターバックスのセグメンテーションについては、以下のような事例があります。

忙しいビジネスマンや学生向けの「テイクアウトセグメント」外出先で手軽にコーヒーを購入したい人向けに、効率性を重視したサービスを展開。
リラックスした時間を過ごしたい女性向けの「スターバックス体験セグメント」リラックスした時間を過ごしたい女性などに向けたコーヒーやスイーツなどのメニューを楽しみながらくつろげる雰囲気を提供。
高級感を求める顧客向けの「プレミアムセグメント」一部のスターバックス店舗では、高級感のある店内装飾や、高級なコーヒーや食材を使用したメニューを展開。

以上のように、スターバックスは異なるセグメントのニーズに合わせて、店舗やサービスを展開し、成功しています。

セグメンテーションの具体的なやり方

セグメンテーションのやり方は、以下のような手順が一般的です。

ステップで解説していくので、参考にしてください。

  1. 1.データ収集
    まずは、市場に関する情報を収集します。人口統計情報や消費者行動データ、市場規模や競合情報など、様々な情報源から情報を集めます。
  2. 変数の選択
    収集した情報から、セグメンテーションに利用する変数を選択します。人口統計情報や地理的変数、行動変数など、適切な変数を選択します。
  3. セグメンテーション変数の分析
    選択した変数を分析し、それぞれの変数がどのような特徴を持っているかを把握します。
  4. セグメントの作成
    分析した変数を元に、セグメントを作成します。同じ特徴を持つグループをまとめ、セグメントを作ります。
  5. セグメントの評価
    作成したセグメントが、目的に合致しているかを評価します。それぞれのセグメントが、十分な市場規模を持っているか、特定の需要に応えることができるかなど、様々な観点から評価を行います。
  6. セグメンテーション戦略の策定
    評価を元に、最終的なセグメンテーション戦略を策定します。セグメントごとに異なるマーケティング戦略を検討し、それぞれに合ったアプローチを取ります。

上記の手順を踏むことで、消費者を細かく分け、それぞれに合ったマーケティング戦略を展開できます。

ただし、セグメンテーションの方法は多岐にわたり、企業や業界によっても異なりますので、状況に合わせて最適な方法を選択しなければいけません。

あくまで一つの参考例として、自社に合わせた適切なセグメンテーションを行ってください。

自社に合わせたセグメンテーションを策定しましょう

セグメンテーションは、自社のサービスや商品を効果的に販売する戦略として適しています。

セグメンテーションを行えば、自社にとって有利な販売方法が見いだせるでしょう。

ただし、自社のブランドや商品、サービスによって具体的な方法は異なるので、他社をそのまま真似しても効果は出ません。

あくまで、自社に合ったセグメンテーションが重要です。

今回紹介した事例などは、あくまで参考として、適切なセグメンテーションを行ってください。

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