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「PM理論」日本発、リーダーシップの基本理論!経営学者が解説!

目次

PM理論とは

日本に集団力学(グループダイナミクス)という研究分野をもたらし、大阪大学や九州大学で教鞭をとられた、日本の心理学研究の大家・三隅二不二(みすみ・じゅうじ)先生が提唱した、リーダーシップの本質に迫る基本理論です。その貢献は世界的に知られていますが、むしろ日本ではあまり知られておりません。だからこそ、今回は力を入れてPM理論を紹介したいと思います。

PM理論は、非常にシンプルな理論です。集団をよく機能させるリーダーはどういう存在なのか。それを探求していく中で、普遍とみられる二軸が明らかになっていく。日米でほぼ同時に発見されたのですが、それは「人々をゴールに向かわせる力」「人々がその集団にい続けようと思わせる力」の2つでした。その形は色々あれど、リーダーシップという現象の本質はこの2つに集約されるのだ、と。

三隅先生は前者をPerformanceを発揮させるという意味で「P」、後者を組織を存続させるという意味でMaintenanceの「M」をあて、PM理論と名付けたのです。

PM理論登場の背景

この理論が登場してきた、歴史的文脈を理解すると、いかにPM理論が重大な意味を持っているのかが分かります。

それまで、リーダーシップ研究というのは、偉人研究だったのです。実際に人類の歴史に名を遺した偉人たちを調べ、彼らからリーダーシップを学ぼう、と。今日でも政治塾や弁論団体はこの教育方法を採用するところも少なくありません。

ですが、そこから浮かび上がってくるのは、かなりクセの強い特徴ばかりです。

人類の歴史が血なまぐさい歴史だったことを考えれば、それも自然な事ですが…

カエサル、織田信長、ナポレオン、始皇帝…こうした人たちの特徴を抽出すれば、以下のようになる。

雄弁、野心的、独立心が強い、攻撃的、社会階級が高い、均整の取れた体形

で、事実、それがリーダーだと教えられてきた時代は、長くあったのです。

しかし、これは表層的にリーダーだった人の共通特徴を列記したにすぎません。リーダーシップとは、結局、人の心理に対してどう働きかける事象なのかは、未解明なままだったのです。

そこで、リーダーシップ研究は、心理学分野に委ねられることになりました。果たしてリーダーたる人があらわれ、メンバーに働きかけるとき、そこではどういう心理作用が起こっているか。そうした取り組みが戦後になって進められる中で、三隅たちが到達したのが、「ゴールに向かわせる気持ちを起こさせること」と「組織に居続けたいという気持ちを起こさせること」だったのです。

今日でも、この2軸こそがリーダーシップの本質、普遍の要素であるとの理解は変わっていません。その意味でも、三隅の成した貢献は非常に大きいものだったのです。

PM理論の使い方

では、このPM理論、どうやって使っていけばよいのでしょうか。三隅は、概念図として、PとMそれぞれが実現できているかどうかで、4象限に分類しました(上図)。なお、キツいとかヤバいというのは中川がわかりやすくするために付けたもので、三隅先生が定義したのはPm型とかpm型という表現のほうです。

皆さんは、リーダーとして、自分がどのタイプに当てはまる、と感じるでしょうか?

自分は、人に対してやさしいけれども、成果を出させる部分が弱いんだよなとか、逆に自分はとにかく結果を求めるけど、配慮がないよなとか、自分なりに反省する部分があるのではないかと思います。

自己をふりかえり、自分の足りない部分を補う、というのが正しい使い方なのです。

三隅先生から時代を下って、日本でリーダーシップ研究の第一人者となったのは、金井壽宏・神戸大名誉教授ですが、金井先生は「リーダーシップの持論アプローチ」を提唱されています

結局、人それぞれ個性が違っているのだから、リーダーのありようは千差万別だと。自分なりの、リーダーシップスタイルを確立するしかない

であれば、自分のリーダーとしての姿を見つめ直し、よりよいリーダーたるためにどうしたらよいか、自問自答し、試行錯誤するなかから、自分だけのリーダーシップの持論を構築していくことが、もっともよいリーダーシップの養成方法なのだと提唱したのです。

まさに、三隅先生の理論からの理論的発展の方向として、この形だろう、と私も思います。

普遍の2軸があり、しかしそれをどう実現するかは人それぞれ。

だとするなら、自分のリーダーシップの特徴を知り、足りないところを補うために、持論をつくっていく。

そんなきっかけとして、あなた自身のPとM、ぜひ、チェックしてみてください!

著者・監修者

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