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ビデオMVP―新事業創造の切り札

本日は、イノベーション活動の切り札として最近非常に注目されているアプローチ、ビデオMVPというものの効果について、皆さんにお伝えしようと思います。(※こちらは2020年度立命館大学のイノベーションマネジメントの授業のフィードバックに基づくものです!)

実はこのビデオMVPというのはですね、シリコンバレーなどでも非常によく使われており、今日、世界中でスタートアップ企業が自社のプロダクトやサービスを知らしめるために大変よく使えるようになった手法です。

最も有名な事例は、Dropboxです。Dropboxは、そのアイディアを、デモ動画によって完成品ができる前に見せることを通じて、たくさんの顧客と、そして投資家を集めることに成功しました。このビデオMVPというのが、果たしてどういうもので、どういう効果があるのかというのを、皆さんにご紹介しようと思います。

目次

ビデオMVP

ビデオMVPとは、平たく言えばその製品やサービスを、デモをするデモンストレーションする、ぱっとお客さんとかに見てもらうためのサービス案内の動画です。日本で広まっている言葉で言えば「プロモーションビデオ」ですね。

MVPというのは、ミニマム・バイアブル・プロダクト(Minimum Viable Product)というふうに書きまして、最小限の機能を備えている製品やサービスの試作機、模型、見本のことを指します。ビデオMVPといった場合には、完成品が出来上がる前、さらに言えば試作品が出来上がる前に、自分たちのアイディアをぱっとビデオ動画にして、それを30秒から数分ぐらいの時間でお客さんや投資家に見せて伝えるためのものとしてデザインされます。

近年、この手法は新製品やサービス開発をする際にかなり有効な手段となることが明らかになっています。それ故に、スタートアップ企業ではこのあるタイミングでビデオMVPを作るということがプロセスの中に位置づけられるようにもなっています。

どうして、このビデオMVPというものが新製品・サービス開発でパワーを持ちうるのか。皆さんもぜひ考えてみてください。

MVPの3つの効果

皆さん、実際にビデオMVPを見たつもりで、考えてみてください。視聴後にはどんな感想を抱くでしょうか?良いプロダクトだなと思ったり、こういうところに問題があるよな、そんなふうに思うこともあるはずですね。自分は「この商品が完成したら欲しいな」と思うかもしれないし、「自分には関係ない商品かな」と思うかもしれません。

こんな反応が視聴者から帰ってくるとしたら、それは製品・サービス開発でとても有効であるということは、既に見えてきたのではないでしょうか。

ビデオMVPの効果。第1には、顧客目線で見たときに、その製品・サービスが欲しいと思ってもらえるかどうかを推し量ることができる。顧客の生の反応がわかるのが大きい。市場性があるのかどうかがまず確認できる。

さらには、顧客からはこんな機能があったらいいのにな、こういう機能いらないよな、こういうも部分をもっと強化してくれればいいのにな、そういうフィードバックももらえるので、一層商品力を高めることができる。

この、顧客目線で見て、ニーズがあることを確認したり、製品・サービス案に対してフィードバックをもらえたり…というのが、第1の効果になってくるわけです。

第2の効果は、投資家への効果です。皆さんも投資家目線で考えてみてください。皆さん、動画を見た後で、この製品・サービスに投資すべきかどうか、かなり判断がつくのではないでしょうか。そういう判断もビデオMVPで促せる。投資家にこのビデオMVPを見せていけば、投資を受けることができたり、あるいは投資を受けるためにはこういうところを改善してくれというような意見を頂戴したりできるわけです。

第3には、プロジェクトチームメンバーへの効果です。メンバー目線で見たら、ビデオMVPはどういうふうに映るでしょうか。仲間に見せることによって、そうか、自分たちのプロダクトってこういうことを作ろうと思っていたのか、自分たちが目指すべきゴールはこっちだ、というゴール認識の共有につながる。そして、今はどこまで何ができているのか、自分たちの達成状況も共有できるという効果があるわけです。

メンバーたちにとっては、いつ頃までにこれを完成させればいいのかというゴールの共有になるとともに、創業者が今何を考えているのか、という思考の共有になる。文章や口頭では、なかなか伝わらないものが、動画なら非常にわかりやすく伝わる。あるいは営業担当、マーケティング担当も、製品・サービスの魅力やウリがどこにあるのかを認識し直すことができる。ビデオMVPを見れば、自社の状況を仲間たちと共有することができるわけで、チームビルディングやプロジェクトマネジメント上でも、とっても効果があるわけです。

こんな三つの効果がある。お客さんへの効果、投資家や支援者さんへの効果、そして仲間たちへの効果。そんな三つの効果を一つの形として実現できるのが、ビデオMVPなわけです。こうしたわけで、ビデオMVPはプロジェクト活動のなるべく早い段階で、最近では行われるようになっています。

ビデオMVP実施のポイント

ビデオMVPを実施するときのポイントは、安く早く済ませるということにあります。もしも、お金がたっぷりいくらでも使えるのであれば、ビデオなんて作らず、完成品を作っちゃえばいいんです。でも、完成品をいちいち作っていたら、お金も人手も、時間もめちゃくちゃかかってしまうわけだから、ビデオMVPの意義は、早く、安く、ぱっと完成品のイメージを共有することにこそある。ですから、ここにたくさんのお金をつぎ込んだり、めちゃくちゃ時間をかけてはいけないわけです。

近年は、クラウドサービスなんかにお願いをすればですね、数万円ぐらいでぱっと作ってくれる。絵コンテがわりのPowerPointのスライドを送れば、そこからぱっと動画を作ってくれる。ですから今日では、安い価格でぱっとビデオMVPを作るのも造作もないこと。そうして、早いうちにメンバーと意見を共有したり、お客さんを掴んだり投資家と議論したりということをしていく訳わけですね。

というわけで、完成品を作っていてはお客さんをつかむのも投資家をつかむのも遅くなってしまう。完成品を作ってから修正するのでは、お金も時間もかかってしまう。そういうロスをなくすために、早くに実施するものがビデオMVP、安く済ませるために行うのがビデオMVPということで、いかに早く安く済ませて、早くにフィードバックをもらうというところにメリットがある。この点を間違えることなく使っていけば、ビデオMVPというのは皆さんが新規事業にチャレンジしようとするときに、とっても有効な手段になっていきます。

というわけで、ビデオMVPはもっと多くの人に知ってもらいたいメソッドです。ぜひ、活用してみてください!

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