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人類史に残るイノベーションは何か?【立命館イノベーションマネジメント第1回フィードバック/2020年】

あなたが人類史に残るイノベーションだと思うものは何ですか。本日はですね、学生に許可をもらったので、授業のフィードバックをここでやってみたいと思います。(2020年度、コロナ禍の中でのオンライン講義録より)

目次

●授業のフィードバック

私は2020年度、立命館大学さんでイノベーションマネジメントという科目を教えましたが、この科目での学生諸君が出してくれた回答が結構面白くて、フィードバックを兼ねつつ、世の多くの皆さんにこのイノベーションの学びというのを共有しようということで、試しにYouTubeでちょっと発信させてもらいました。今回はその内容を再度ブログ化したものです。

今回はイノベーションマネジメント第1回目のレポートなんですけれども、私が学生に出したテーマはこんな感じです。

●人類史に残るイノベーションは?

人類史に残るイノベーションだと思うものは何ですか、その理由とともに説明してください。ぜひちょっと皆さんも考えてみてください。人類史に残るイノベーション、あなたがそう思うものって何ですか。

いや実際いろんなのあったんですよ。面白かったですね、いや人類史に残るイノベーションでしょ、それはネイルでしょうと。ジェルネイルでしょう、とか。いや、わかる。それはすごく、きっとあなたにとって衝撃的だったんだろうなと。いや気持ちはわかる、すごく高く評価してあげたい。そんな気持ちはわかるんですけども、とかですね笑。

ガリガリくん。あれほどすごいイノベーションはない。あれ、めちゃくちゃうまいし老若男女みんなが楽しんでいる。私、こういった答案が大好きで、すごくそういった答案も心が豊かになって思考が幅広くブラッシュアップされたわけなんです。

●文字の発明

そんな中で、私が思った学生の意見の第一位は、文字の発明。なるほどなと思いました。

私達は文字というものを手に入れたことによって、人に感情を伝えることができるのみならず、伝えるだけなら言葉でいいんですけども、残しておくことができる。あるときに起こった出来事を克明に記録したり、あるときの感情を記録したり、これによって私達は昔に何があったのか。昔何があったのか、今何が起こっているのか、誰がどういうことを喋ったのか、そういったことを全部記録しておくことができる。物語を書くことができる。様々な方向に、人々の社会が進化していく起点になったものっていうのは、文字なのではないのか。なかなか鋭い意見だなと思いました。

●印刷技術の発明

これに関連したものとして、印刷技術があるだろうと思います。実はこの印刷技術っていうのはですね、人類の難題発明の一つということでちょっとインターネットを調べると結構出てくるので、この印刷技術というのを答えていただいた学生はすごい多かったんですけども、そこから考察を深めて、いや、印刷よりもそもそも印刷のさらに元になったっていうのは、文字を残せるようになったことなんではないのかっていうことで、文字と回答してくれた学生がですね、二、三人ぐらいおったんですけども、これはなかなか鋭いなと。

私達の社会の発展の礎の一つになってるものは文字ではないのか。いや鋭い意見だなと思いました。

●貨幣・紙幣の発明

それから私が思った人類史に残る発明として、第2位に取り上げたいなと思いますのは、貨幣ですね。貨幣と答えてくれた学生も2人ぐらいおったんですけれども、何でもない、その辺のキラキラした石。金とか銀とかいうもの、少量しか取れなくって、あんまり実用に耐えないようなものなんですけども、そういったものが価値があるものだということで、これに価値をつけた、ということで、金とか銀とか、それらを貨幣だといったこと。あるいは本当に単なる紙切れ、そこに国の偉大なる人物の顔とかを書いて数字を書いて、それでこれが価値を持つんだというふうに言った、この貨幣や紙幣というもの、そういったものを産んだ通貨を産んだというのは、人類史に残るイノベーションだと言えるのではないのか。

いやなかなか鋭いですよね。

これによって、人々は物の交換が可能になった。あるいは一つ一つのものに値段をつけることができるようになった。それによって経済というものが生まれて、物の循環というものがより豊かに充実して行えるようになった。お米と、鉄器、土器、そういったものが交換可能になった。土地や家、そういったものが交換可能になったということで、まさしくこれは人類史を大きく飛躍させたイノベーションなんじゃないのかとそういうふうに考えるわけです。

●インターネットの発明

それから、インターネットと答えた人も多いです。実際これは人類史に残るイノベーションの一つだというふうに考えられているんですけれども、それから発展して、いやスマートフォンこそがポイントなんだとか、パソコンこそがイノベーションだと、コンピュータの発明がイノベーションだという人もおったんですけども、これはですね学生のかなりの割合が答えたんですけども、インターネットだというのは、まさに近年で考えたときの人類史に残る発明としては、インターネットが該当するかなというふうに思います。

●火の発明

それからですねこれも、人類史に残る発明として多くのものの本に書いてるんですけど、火の発明ということを挙げてくれた学生も多かったです。これも本当そうですね。物を、火を通すことによって料理することによって、安全に食べることができるようになった、美味しく食べることができるようになった。それによって私達のこの体の健康状態や発育状態が発展した。

 また火を使うことによって、金属の加工が可能になったりしたようになった。それによって、より高度なものが作れるようになったということで、この火の使用、火を使えるようになったというのも、まさしく人類社会を大きく発展させたイノベーションだというふうに言うことができるわけです。

●ピアノの発明

 また唯一の方が発表してくれたんですけども、ピアノだろうと。この火だとか、印刷とか、お金、文字そういったものに比べるとちょっと方向性は変わりますけれども、十二音の音階で作られて、それが5オクターブ、7オクターブで表現されることによって、近代西洋音楽を完成させ、それを1人の人間が表現できるようになったピアノというものは、まさに楽器の王様なんですね。

そしてこのピアノというものの発明によって、その近代西洋音楽理論というものが一つの完成を迎え、これによって作曲も基本ピアノでするし、どんな音楽も基本的にこの十二音音階で奏でられる。今日のボーカロイドとかに至るまで、やっぱりこの鍵盤というものが基本になってるわけですね。

この意味で、ピアノの発明というのはやっぱり人類史に残る、少なくとも音楽史における最重要な発明の一つ、イノベーションの一つだと見ることができるという意味で、ピアノというのも、人類史のイノベーションだと言って差し支えないだろう。

なかなか面白い意見だなというふうに思いました。

さてこんなふうに学生がたくさんあげてくれてるわけなんですけど、ここで「どういうふうにイノベーションを私達が見るべきだったか」そのポイントをもう1回確認しておきたいと思います。

イノベーションって結局何だったのか。私のこのYouTube上でやってる講義動画にも書いたのですけれども、イノベーションというのは、単に新しい科学的な原理原則法則性を見つけ出した、これだけじゃないんですよね。これは決してイノベーションじゃないんです。あるいはそれが単発のものとして新しい発明になった、こんなおもろい発明をしてみました、これも決してイノベーションじゃないわけです。

イノベーションとは何かと言えば、それが継続的に人類社会の変革を生んだ。継続的に私達の暮らしをより良くした、別の表現を使えば、私達の社会に新しい価値を継続的に届けてくれるようになったものがイノベーションなわけです。

 そういうものだとすると、このイノベーションというものをどうやって起こすのか、そしてそれを実際に自分で起こしていくための技を身につけること、これが本当に大切なことだと思いませんか?

今日、もし皆さんが社会によりよく貢献したいと願い、そんな火を発明するような、印刷技術を発明するような、この社会をさらに良くしたいと願うのであれば、まさにこのイノベーションというものに注目して、新しいものをどうやって世に生み出しそれをこの社会に定着させていくか、そういう知恵として、イノベーションマネジメント、そして広くは経営学の知恵ってのは大切になってくるわけです。

●まとめ

そんなわけで、ぜひですね動画見て、二つのことを皆さんには考えてもらいたいと思います。

 こうした目線で見たときに、こういうのも人類史上のイノベーションじゃないかと思えるものがあったらぜひ紹介してみてください。そういう気づきで、この世の中を見ていくと、この世の中がもっともっと素敵に見えてくる。こういうのも過去の誰かの発明であって、それによって私達の生活は大きな恩恵をこうむっているようなそういうに気付けるっていうのは、だんだんだんだんその先人たちのイノベーションという活動へのリスペクトの深まりになっていくはずです。

 それからもう一つ、そして何よりも私がもっと願うことは、そういったリスペクトを新たにするとともに、自分の人生の中で何かイノベーションを起こして、この社会をより良くしたい、そういう活動の尊さに気付くとともに、そこに挑戦したいという気持ちを少しでも高めてもらえたらというふうに願ったわけです。

 そんなわけでイノベーションマネジメントの第1回目は、先人のイノベーションの素敵さ、偉大さに気づき、そこにリスペクトを自然な感情として持つとともに、そういったものを自分がなすということに少しでも動機を持ってもらえたら、志を持ってもらえたら、そんなことを願って、第1回目の講義をこのテーマにしました。

 皆さんもこの今の社会というものをイノベーションの目線で見つめ直し、そこに自分のイノベーションを付け加えていく、そんなことを心に秘めながら日々の生活を送ってもらえたら嬉しいなと願っています。

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