エンパワーメントは、企業で働く一人ひとりの能力を高め、成長していけるようにする概念です。
概念としては古くからありますが、昨今、改めて注目されています。
多くの企業に導入できる概念なので、社員数の多い企業や組織は、ぜひ参考にしてください。
エンパワーメントとは?
エンパワーメントは、個人や集団が自己決定能力や自己効力感を高め、自己実現や自己成長を促進するプロセスや概念を指します。
エンパワーメントの目的は、個人や集団の力を引き出し、自己決定や自己管理、自己責任を通じて、より良い結果の達成です。
エンパワーメントは、さまざまな側面で実現できます。
例えば、教育や訓練を通じて知識やスキルを獲得し、自己成長やキャリアの発展を図ることがエンパワーメントの一形態です。
また、意思決定や問題解決の能力を向上させるための支援や、意見や声を主張する機会を提供することもエンパワーメントの一つになります。
エンパワーメント福祉とは
エンパワーメント福祉(Empowerment Welfare)は、福祉政策や社会的支援のアプローチの一つであり、個人や集団のエンパワーメントを中心に据えた福祉の提供を指します。
従来の福祉サービスは、受給者が依存的な立場に置かれるケースがありますが、エンパワーメント福祉は、そのような依存的な関係を脱却し、利用者自身の力を引き出すことを重視します。
エンパワーメント福祉のアプローチでは、利用者の自己決定能力や自己効力感を高め、自己の状況を改善するための能力育成が重要視されます。
具体的な手法としては、情報提供や教育、訓練、コーチングなどを通じて、利用者が自己のニーズや権利を理解し、自己決定を行い、主体的に行動できるよう支援します。
教育領域でのエンパワーメント
教育領域でのエンパワーメントは、学習者や教育関係者の能力や自己決定力を高め、主体的な学びや成長を促進するアプローチです。
エンパワーメントの教育アプローチは、単に知識やスキルの獲得だけでなく、学習者が自己の力を発揮し、自己成長や自己実現を追求できるようにすることを重視しています。
学習者は自己の目標や関心に基づいて学び、問題解決や批判的思考のスキルを身につけることで、自己の可能性を最大限に引き出せます。
以下に、教育領域でのエンパワーメントのいくつかの側面を説明します。
学習者の自己決定と自己効力感の促進
エンパワーメントの観点から、学習者は自身の学びの目標や方法を選択し、自己の学習プロセスを管理する機会を与えられるべきです。
学習者は自己効力感を持ち、自信を持って学びに取り組めるようになります。
個別のニーズに対する配慮と包摂
エンパワーメントの視点では、教育は学習者の多様なニーズや個別の要求に対応する柔軟性が求められます。
特別な教育ニーズを持つ学生やマイノリティの学生は、自己のアイデンティティや文化を尊重しつつ、学びや参加の機会を確保することが重要です。
参加と声の重視
エンパワーメントの観点からは、学習者や教育関係者の意見や声を重視し、参加を促すことが求められます。
学習者は自己の意見を表明し、教育プロセスや政策に対して影響力を持つ機会を与えられるべきです。
自己評価とフィードバックの重要性
エンパワーメントのアプローチでは、学習者が自己評価を行い、自己の進歩や成果を確認することが重要です。
また、教育者からの適切なフィードバックや支援もエンパワーメントを促進する要素です。
教育環境と資源の整備
エンパワーメントを実現するためには、適切な教育環境と資源が必要です。
学習者や教育関係者がアクセス可能な情報や技術、学習資源が提供され、学習の機会や選択肢が拡大されることが重要です。
また、教育機関や学校内の意思決定プロセスにおいて、関係者の参加や透明性が確保されることもエンパワーメントを促進する要素です。
教育者の役割
エンパワーメントを実現するためには、教育者が学習者をサポートし、彼らの個別のニーズや能力に合わせた指導やフィードバックの提供が重要です。
教育者は学習者の自己効力感を育て、彼らが自己の学びを主導し、成長を支援する役割を果たします。
経営学におけるエンパワーメントの重要性
経営学におけるエンパワーメントの重要性は、組織や企業において個人の能力と意欲を引き出し、成果を最大化するために重要な要素となっています。
以下に、経営学におけるエンパワーメントの重要性についていくつかのポイントを説明します。
モチベーションとパフォーマンスの向上
エンパワーメントは、従業員のモチベーションとパフォーマンスの向上に寄与します。
従業員が自己の意思決定や責任を持ち、自己の能力を発揮できる環境が提供されることで、彼らの働く意欲やパフォーマンスが向上します。
創造性とイノベーションの促進
エンパワーメントは、従業員の創造性とイノベーションを促進します。
従業員が自己のアイデアや提案を積極的に出すことができ、自己の能力を信頼される環境が整えられると、新たなアイデアや解決策が生まれ、組織の競争力が向上します。
チームワークと協力関係の構築
エンパワーメントは、従業員間のチームワークや協力関係の構築にも寄与します。
従業員が自己の能力や意見を尊重され、自己決定の機会を与えられることで、チームメンバー間の信頼と連携が促進され、組織全体のパフォーマンスが向上します。
リーダーシップの育成
エンパワーメントは、リーダーシップの育成にも貢献します。
組織内の従業員が自己の能力を発揮し、自己の意思決定や責任を持つことで、リーダーシップの資質が育まれます。
また、エンパワーメントを実践するリーダーは、従業員の能力を引き出し、彼らの成長と発展を支援する役割を果たせます。
組織文化と働きやすさの向上
エンパワーメントの実践により、組織の文化が向上し、働きやすい環境が形成されます。
従業員が自己の能力を発揮できる状況が提供されることで、自己成長や自己実現の機会が与えられ、組織内の働きやすさが向上します。
このような組織文化は、従業員の満足度や忠誠心を高め、組織のパフォーマンスにプラスの影響を与えます。
エンパワーメントの概念が普及した要因
エンパワーメントの概念が普及した要因として、主に以下の4つがあります。
- 社会的変化
- 社会の多様性
- 教育の変化
- 社会正義
それぞれの要因について、具体的に解説します。
社会的変化
近年、社会的な構造や権力関係の再評価が進み、個人の権利意識や自己決定権の重要性が強調されています。
人々は自己の能力を発揮し、自己の人生や状況を改善する権利を持つという意識が高まりました。
社会の多様性
社会の多様性や包摂の重要性が広く認識されるようになりました。
個々の人々やグループが、自己のアイデンティティや文化を尊重されながら、社会的な参加や発展の機会を享受できることが求められています。
教育の変化
従来の教育アプローチでは、教師中心の教育が主流でしたが、近年では学習者中心のアプローチが重視されるようになりました。
学習者が自己の学びを主導し、能力を発揮することが重要視され、それに伴いエンパワーメントの概念が注目を集めました。
社会正義
社会的な不平等や差別の是正、持続可能な社会の実現が求められています。
エンパワーメントは、社会的弱者やマージナライズされたグループが自己の力を引き出し、自己決定や社会的な変革を実現するための手段として注目されています。
エンパワーメントが注目される理由
エンパワーメントの概念自体は、古くからあります。
しかし、昨今改めてエンパワーメントに注目が集まるようになりました。
なぜ改めて注目されるようになったのか、理由について解説します。
従業員の参加と関与の重要性の認識
近年、組織内で従業員の参加と関与が重要な要素だと認識されています。
従業員は組織の最も貴重な資源であり、彼らが自己の能力を発揮し、自己の意思決定や責任を持てれば、組織の成果や効果性が向上すると考えられています。
フラットな組織構造の需要
伝統的な上下関係の厳しい組織構造ではなく、フラットな組織構造が求められるようになりました。
エンパワーメントは、権限と責任を分散し、従業員がより自律的な役割を果たすことができる組織環境を提供します。
このようなフラットな組織構造が、意思決定の迅速性や柔軟性を高め、組織の競争力を強化します。
変化する労働市場の要求
労働市場は急速に変化しており、従業員はより多様なスキルと自律性を求められています。
エンパワーメントは、従業員の自己成長やスキルの継続的な発展を促し、変化に対応できる柔軟性を養えます。。
また、従業員が主体的に働きやすい環境を求める傾向があり、エンパワーメントはその要求に応える手段となっています。
イノベーションと競争力の重要性
イノベーションと競争力は現代のビジネスにおいて不可欠な要素です。
エンパワーメントは、従業員が自己のアイデアや提案を積極的に出し、意見を尊重される環境を創出します。
これにより、イノベーションが促進され、競争力を維持・向上できるでしょう。
人材の成長と満足度の向上
エンパワーメントは、従業員の成長と満足度の向上にも寄与します。
従業員が自己の能力を発揮し、責任を持つ機会が与えられることで、成長と学習の機会を得られます。
また、自己の意思決定や責任を持つことにより、従業員の仕事への関与感や自己成就感が高まります。
これにより、従業員の満足度が向上し、組織への忠誠心やパフォーマンスの向上につながるでしょう。
プロダクティビティと効率性の向上
エンパワーメントは、従業員の自己決定と自己責任を促進することで、プロダクティビティと効率性の向上にも寄与します。
従業員が意思決定を行い、仕事における問題を自ら解決できる状況が整うと、意欲と責任感が高まり、業務の遂行においてより積極的かつ効果的なアプローチを取れます。
その結果、生産性や効率性が向上し、組織の成果に直結します。
組織の回避行動の低減
エンパワーメントは、組織内の回避行動を低減する効果もあります。
従業員が自己の意思決定や責任を持つことで、問題が生じた際に責任逃れや回避行動に走るケースが少なくなります。
代わりに、彼らは主体的に問題解決に取り組み、責任を果たそうとする傾向があります。
これにより、組織内のコミュニケーションや信頼関係が改善し、組織の健全な運営に寄与します。
2種類のエンパワーメント
エンパワーメントには、「構造的アプローチ」と「心理的アプローチ」の、2種類の方法があります。
それぞれに含まれる要素や、特徴について解説します。
構造的アプローチ
エンパワーメントの構造的アプローチは、従業員の能力と自己決定を促進するために以下の要素を含む枠組みを構築することを指します。
- 役割と責任の明確化
- 権限の委譲
- 情報の共有と透明性
- 評価と報酬のシステム
- スキル開発と成長の機会
- チームワークと協力の促進
これらの要素を組織内に組み込むことで、従業員は自己の役割と責任を理解し、自己の能力を最大限に活かせます。
また、自己決定や意思決定の権限を持ち、情報にアクセスし、成果に応じた評価や報酬を受け取ることが可能となります。
さらに、スキルの向上と成長の機会を提供し、チームワークと協力を重視する環境を醸成することで、組織全体のパフォーマンスが向上するでしょう。
心理的アプローチ
エンパワーメントの心理的アプローチは、従業員の自己効力感や自己価値感を高め、自己の能力を信じて行動することを促す方法です。
心理的アプローチには以下の要素が含まれます。
- 自己効力感の促進
- 自己決定の権限
- フィードバックと認識
- 目標の共有と意味づけ
これらの心理的アプローチを取り入れることで、従業員はより主体的に行動し、自己の能力を最大限に発揮できるような環境が整い、組織全体の成果に貢献できます。
エンパワーメントを高める組織作りの方法
エンパワーメントを重視した組織づくりには、以下の方法があります。
それぞれの方法を実施し、自社のエンパワーメントを向上していきましょう。
役割と責任の明確化
従業員が自己の役割と責任を理解し、自律的に行動できるようにするために、役割と責任を明確に定義します。
明確な役割定義は、従業員に対して自己の領域での意思決定や責任を与える基盤となります。
権限の委譲
従業員に適切な権限を与え、意思決定の自由度を高めることが重要です。
権限の委譲により、従業員は自己の仕事において自己決定を行い、迅速かつ効果的に行動できます。
コミュニケーションと情報の共有
エンパワーメントを促進するためには、組織内のコミュニケーションと情報の共有が重要です。
従業員は組織のビジョンや目標を理解し、情報にアクセスすることで、自己の意思決定や行動をより適切に行えるようになります。
リーダーシップのサポートと育成
エンパワーメントを実現するためには、リーダーシップのサポートと育成が欠かせません。
リーダーは従業員の成長を促し、彼らが自己の能力を発揮できるような環境を提供する役割を果たす必要があります。
スキル開発とトレーニングの提供
エンパワーメントを実現するためには、従業員のスキル開発とトレーニングをサポートする必要があります。
従業員が自己の能力を発揮し、責任を持つためには、必要な知識やスキルを習得する機会が必要です。
組織は、トレーニングプログラムや教育の提供を通じて従業員の成長を支援し、彼らが自己の役割を果たせるような環境を整えることが重要です。
目標設定と評価の透明性
エンパワーメントを重視した組織では、目標設定と評価プロセスの透明性が求められます。
従業員は自己の目標を設定し、自己の成果を評価することが重要です。
組織は目標設定のガイドラインや評価基準を明確にし、従業員が自己の進捗状況を把握し、自己の成果に責任を持てるようにサポートする必要があります。
チームワークと協力の促進
エンパワーメントは単独の従業員に対するものだけでなく、チームワークと協力を重視する組織文化の構築も重要です。
従業員は自己の意思決定や責任を持ちながらも、他のチームメンバーとの協力や情報共有を通じて共同の目標に向けて働く必要があります。
組織は、チームワークを促進するためのコミュニケーションチャネルやプロセスを整備し、協力的な環境を育成することが重要です。
エンパワーメントの企業事例
エンンパワーメントは、いくつもの大手企業が実践しています。
以下では、3つの企業の事例を紹介するので、エンパワーメントの考え方の参考にしてください。
ネットフリックス(Netflix)
ネットフリックスは、従業員に高い自己決定権と責任を与えています。
彼らは「自己決定権と責任の文化」と呼ばれる独自の組織文化を持ち、従業員が自分の仕事とスケジュールを自己の判断で管理できます。
グーグル(Google)
グーグルは「20%の時間」と呼ばれる制度を導入し、従業員には自分のプロジェクトに取り組むための時間を与えています。
また、フラットな組織構造を持ち、従業員のアイデアを積極的に受け入れる文化を築いています。
株式会社星野リゾート
星野リゾート(Hoshino Resorts)は、エンパワーメントを取り入れた組織文化で知られる日本のホテル・リゾート企業です。
以下に星野リゾートのエンパワーメントに関連する事例をいくつか紹介します。
自己決定権の強化
星野リゾートでは、従業員に対して自己決定権を与える文化を築いています。
例えば、ホテルの接客スタッフはお客様に対して柔軟な対応が求められますが、それに対して従業員は自己の判断で最適なサービス提供を行えます。
自己決定の権限を持つことで、従業員はより主体的に仕事に取り組めるようになります。
チームワークと相互サポート
星野リゾートでは、チームワークと相互サポートを重視しています。
従業員同士が連携し、助け合いながら業務を遂行することが求められます。
また、上司や管理職も従業員の成長と発展を支援し、個々の能力を最大限に引き出すための環境を整備しています。
トレーニングとキャリアパスの提供
星野リゾートでは、従業員のスキル開発と成長を支援するためのトレーニングプログラムやキャリアパスの構築を行っています。
従業員は自己の能力を高めるために研修やトレーニングに参加できます。
また、キャリアパスに沿って昇進や異動の機会も提供され、従業員のキャリアの成長をサポートしています。
企業がエンパワーメントを導入するメリット
エンパワーメントは、大手の企業も導入しています。
しかし、自社に導入することでどのようなメリットが得られるのか、疑問に感じる人もいるでしょう。
以下では、企業がエンパワーメントを導入するメリットについて解説します。
従業員の満足度とモチベーションの向上
エンパワーメントは従業員に自己決定権や責任を与えることを含みます。
従業員が自分の仕事に意義を感じ、自己の能力を発揮できる環境で働くことは、満足度とモチベーションの向上につながります。
生産性と効率の向上
エンパワーメントは従業員の自己決定と自己管理を奨励するものです。
従業員が自らの判断で仕事に取り組むことで、意思決定の速度が向上し、生産性と効率性が高まります。
イノベーションと創造性の促進
エンパワーメントは従業員の意見やアイデアを重視する文化を作り出します。
従業員が自己の能力や知識を活かし、自由にアイデアを出せる環境は、イノベーションと創造性を促進します。
従業員の成長とキャリア発展
エンパワーメントは従業員のスキル開発と成長をサポートします。
自己決定や責任の機会を通じて、従業員は自己の能力を向上させ、キャリアの成長を実現できます。
チームワークと協力の促進
エンパワーメントは従業員間のチームワークと協力を重視します。
自己決定権や責任の委譲は、従業員同士の連携と相互支援を促し、組織全体の協力と効果的なチームワークを作り出します。
企業がエンパワーメントを導入するデメリット
エンパワーメントの向上や導入は、メリットだけではありません。
いくつかのデメリットも存在します。
企業は、エンパワーメント導入のデメリットを加味した上で検討しましょう。
意思決定の遅れやミスのリスク
エンパワーメントによって従業員に自己決定権が与えられる一方で、意思決定の遅れやミスのリスクが生じる可能性があります。
従業員が自己の判断で行動する場合、経験不足や情報の不足によって誤った判断が生じる可能性があります。
リソースとコントロールの分散
エンパワーメントによって組織内でのリソースとコントロールが分散される可能性があります。
従業員が自己決定権を持つことで、リソースの効果的な活用や統制が難しくなる場合があります。
ミッションやビジョンの一貫性の欠如
エンパワーメントの導入によって、従業員が自己の判断で行動するケースが増えるため、組織全体のミッションやビジョンの一貫性が損なわれる可能性があります。
個々の従業員の目標や優先事項が統一されず、組織全体の方向性がぶれる可能性があります。
マネジメントが難しい
エンパワーメントを導入する場合、マネジメントのスタイルや役割も変化する必要があります。
従業員の自己決定や責任をサポートするための適切なマネジメントやフォローアップが必要です。
これにより、マネジメントの困難さが増す可能性があります。
不適切な利用や権限の乱用のリスク
エンパワーメントを導入する際、従業員に与えられる権限や自己決定権についての明確なガイドラインや制約が必要です。
不適切な利用や権限の乱用が起こる可能性があり、組織の信頼が損なわれるリスクがあります。
エンパワーメント導入のステップ
エンパワーメントを導入するための一般的な手順は以下の通りです。
- ビジョンと目標の設定
- リーダーシップのコミットメント
- カルチャーと環境の整備
- 情報とリソースの共有
- 役割と責任の明確化
- スキルと能力の開発:
- フィードバックと評価
- 持続的な改善とフレキシビリティ
- プロセスの文書化と共有
- 継続的なコミュニケーション
以上が一般的なエンパワーメント導入の手順です。
ただし、組織や状況によって異なる要素やステップが存在する場合があります。
エンパワーメントの導入においては、組織の特性や文化に適合する手法を選択し、継続的な評価と改善を行いましょう。
エンパワーメントの導入に失敗するケースと注意点
エンパワーメントの導入は、失敗するケースもあります。
以下の例を参考にして、注意しながら導入を検討してください。
リーダーシップの不足
エンパワーメントの導入にはリーダーシップの重要性があります。
リーダーがエンパワーメントの理念や目標を十分に理解し、従業員をサポートしなければいけません。
リーダーシップの不足やエンパワーメントを支持しない姿勢がある場合、導入は失敗しやすくなります。
コミュニケーションの不足
エンパワーメントを導入する際には、従業員とのコミュニケーションが重要です。
エンパワーメントの目的や意義を従業員に十分に伝えず、十分な情報共有が行われない場合、従業員はエンパワーメントを理解し受け入れることが難しくなります。
役割や責任の明確化の不足
エンパワーメントを成功させるためには、従業員の役割や責任を明確に定義する必要があります。
しかし、役割や責任が曖昧であったり、従業員が適切な権限やリソースを持たない場合、エンパワーメントの導入は失敗しやすくなります。
スキルや能力の不足
エンパワーメントを実現するためには、従業員のスキルや能力の向上が必要です。
しかし、十分なトレーニングや開発プログラムが提供されない場合、従業員はエンパワーメントに必要なスキルを持たず、自己決定や問題解決に不安を感じることがあります。
組織文化の抵抗
エンパワーメントを導入する場合、組織の文化に合わない場合には抵抗が生じることがあります。
従業員や組織全体が従来の上下関係や指示命令型の文化に慣れている場合、エンパワーメントの導入が難しくなる場合があります。
まとめ
エンパワーメントを高めれば、確実に組織は強くなります。
ただし、適切な方法で導入しないと失敗してしまう可能性もあるので、正しい知識を持った上で導入を検討してください。
また、個に焦点をあてた働き方は、昨今注目されているので、今すぐに導入できない企業も、エンパワーメントを理解しておくと良いでしょう。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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