学長・中川がダグラス・ラシュコフ著『デジタル生存競争~誰が生き残るのか~』(ボイジャー)の書評を寄稿しました。
学長・中川のコメント
デジタル技術が、社会をどう変えようとしているのか。
デジタル技術は、それを享受するために、我々に「全体の一部」であることを強いる。我々はデジタルが提供する、幸せな管理社会の上に生きているのだ。自分の個体データに沿って、見るべき映像も、聞くべき音楽も、つながるべき人も、すべてがナッジされている。とてもスマートで幸福な、管理社会。
次第にそのナッジの幅が広がっていく中で、果たして私たちにどれだけの自由意思が残されているのか。(自由意思でこのナッジに抗うことは幸福なのか?幸福とは何か?)
そして、そのデジタル技術を行使する、支配をする側のものは、全体が生み出す便益と巨富を享受しつつ、自らはその仕組みの外に脱出しようとしている。それがデジタル・コングロマリットによるものなのか、デジタルレーニン主義なのかの違いはあれど、東西どちらで起こっていることも、本質的には同じである。
参考)コングロマリットとは
技術に内在する、全体主義的な傾向を指摘し、ラシュコフは、個人としての自由意思を回復する戦いを挑むのである。
デジタル技術の功利をよく理解しているからこその、私たちが見ないようにしている闇の部分を鋭く糾弾する本。
一読の価値はあると思います。
ダグラス・ラシュコフ氏は、10月に来日し、トークショーも予定しています。続報をお伝えする予定です。
著者・監修者
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1982年生。経営学者/やさしいビジネススクール学長/YouTuber/東京大学 経済学博士
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専門は、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営。
「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。
「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作等で経営知識の普及に尽力中。
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