個人を生かす組織論(太田肇・同志社大学)

開講時期:2024年4月~2024年5月

講師プロフィール

同志社大学 政策学部 教授。(同 大学院総合政策科学研究科教授)、経済学博士。 京都大学経済学博士、神戸大学経営学修士。
専門分野は個人を生かす組織・社会づくり、インフラ型組織 、分化、モチベーション、公務員の人事管理、企業不祥事、プロフェッショナル、承認欲求、ワークスタイル、成果主義、個人尊重


太田先生の詳しいプロフィール

科目概要


これまでビジネスの場においては、主に企業の立場から組織を論じるのが普通でした。しかし工業社会からポスト工業社会へ移行するとともに、個人の主体的な活動が重要になり、いかに個人を生かし、能力と意欲を引き出すかが課題になってきています。また人々の働きがいや幸福度を高めるためにも、個人に焦点を当てた組織づくりが欠かせません。 そこで旧来の日本型組織のどこに問題があるのか、ポストコロナ時代に望ましい働き方や組織の形態はどのようなものかを論じるとともに、承認欲求に注目したモチベーション向上策について説明します。

太田肇先生の個人を活かす組織論
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この科目でできるようになること

① 日本型組織の「構造的課題」を分析し、改革の道筋を論理的に説明できる

日本の多くの組織が抱える、共同体型(擬似ゲマインシャフト)の性質を、学術的な視点から解剖できるようになります。
たとえば、出る杭を打つ風土や、イノベーションの不足、責任の曖昧さが、なぜ組織の構造(終身雇用、年功制など)から生じるのかを理解できます。
このような組織人モデルから、専門性を持ち必要な範囲で組織に貢献するプロフェッショナル・モデルへの転換の必要性を、周囲に論理的に説明できるようになります。

②「承認」をマネジメントのツールとして使いこなし、個人のやる気を最大化できる

データに基づき、承認欲求がモチベーションや生産性に与える「光」と「影」の両面を正しく管理できるようになります。
適切な「ほめ方」や表彰制度、発表機会の創出を通じて、自己効力感や帰属意識を高め、離職を抑制する実践的なスキルが身につきます。
一方で、過度な期待が負担となる「承認欲求の呪縛」のリスクを察知し、メンタルヘルスの悪化を防ぐための適切な距離感や「もう一つの居場所」の重要性を理解したマネジメントが可能になります

③「自営型」の働き方を構想し、個人と組織の生産性、そして幸福度を向上させることができる

これからのVUCA時代に適合する新しい働き方として、従来のメンバーシップ型やジョブ型を超えた「自営型」という選択肢を理解し、実践できるようになります。
個人の役割を明確にするだけでなく、一人でまとまった仕事をこなす「自営型」の要素を取り入れることで、ワークエンゲージメントや労働生産性を向上させる具体策を構想できます。
組織を構成員を縛る壁ではなく、個人の活動を支える「インフラ型組織」として再定義し、ブランドや情報ネットワークを個人が活用できる環境作りを検討できるようになります。

ライブ講義

1. 共同体型組織の見直しを(無料公開)

日本企業は終身雇用、年功序列、集団主義を軸にした共同体型組織を維持してきた。共同体型組織は少品種大量生産に象徴される工業社会で成功を収めてきた。ところがデジタル化、ソフト化が進んだポスト工業社会では、それが逆に弱点となり、生産性や競争力向上の足かせとなっている。共同体型組織のどこに、どのような問題があるのかを説明する。

2.ポストコロナの働き方―「自営型」という選択肢―

ポストコロナの働き方として、「メンバーシップ型からジョブ型へ」の移行が、あたかも既定路線であるかのように唱えられている。しかしジョブ型は日本企業の組織構造や社会の構造に適合しない点が多く、企業の現場では壁に直面しているケースが見られる。そもそもジョブ型はVUCAの時代に適した働き方か疑問がある。一方では近年、デジタル化を追い風にして、雇用か独立自営かを問わず半ば自営業のようにまとまった仕事をこなす働き方が国内外で広がっている。「自営型」の特徴と強みについて述べる。

3.デジタル化、グローバル化と「インフラ型組織」

組織論の世界ではピラミッド型の機械的組織(官僚制組織)と有機的組織が代表的な組織類型とされてきた。一見すると対照的な組織形態だが、組織が環境適応の主体であり、メンバーはあくまでも組織の一員として行動するところに共通性がある。ところがデジタル化、グローバル化の進展とともに個人が直接市場や顧客と対峙し、主体的に活動するケースが増えてきた。組織は個人の活動を支援する一種のインフラとしての役割を果たすのである。インフラ型組織の特徴と具体例について説明したい。

4. 承認欲求とモチベーション

近年「承認欲求」というワードが世間に流布するようになった。多くはネガティブなニュアンスを込めて使われているが、本来は人間の基本的な欲求の一つである。実際に働く人のモチベーションと深く関わり、生産性も左右することが明らかになった。しかしプラス面ばかりではなく、場合によってはむしろマイナスに作用することもある。また日本人、日本企業に特有な表れ方をする傾向もある。承認欲求を前向きなモチベーションに結びつけるにはどうすればよいかを説明する。

ガイダンス|個人を活かす組織論はこんな科目です

はじめに

この科目は、日本の組織に深く根付いている共同体型組織の仕組みとその限界を解き明かし、これからの時代に「個人を生かす組織」とはどうあるべきかを考えるためのものです。
講師を務めるのは、同志社大学(現在は名誉教授)の太田肇先生です。
太田先生は、ご自身が「組織があまり好きではない」という独自の視点を持ちながら、長年「組織と無縁では生きられない個人」がどのように働き、参加できる組織を作るべきかを研究してきました。

日本型組織の正体は「共同体」?

日本の会社は、単に利益を追求する「機能集団」ではなく、家族や村のような「共同体(疑似ゲマインシャフト)」としての側面を強く持っています。
そこでは人間関係や絆が重視され、社員は「メンバー」として厚い壁の内側に守られています。
かつてこのモデルは、雇用の安定や高い忠誠心、利害を超えた貢献(超過的貢献)を生み出し、日本の経済成長を支えました。しかし現在では、強い同調圧力、出る杭を打つ風土、責任の曖昧さ、そしてハラスメントの温床…といった負の側面が目立つようになっています。
周知のとおり、グローバルな競争の激化や、VUCA時代の到来、テレワークの普及により、従来の「みんな一緒」という同質的な組織では対応できなくなっています。また、終身雇用や年功序列といった骨格が維持される一方で、イノベーションの阻害や「働かないおじさん」問題など、構造的な歪みが限界に達しています。

まとめ

例えるならば、日本の組織は「一つの大きな船」のようなものです。
かつては全員で同じ方向に漕ぐことで荒波を越えていけましたが、今や海図のない時代になり、全員が同じ船に縛り付けられていることが、かえって沈没のリスクや息苦しさを生んでしまっている可能性があります。

この講義は、その大きな船をどのように改造し、あるいは個人が自由に泳げる「小さなボート」をどう用意すべきかを考えるための羅針盤となります。
この講義を視聴することで、皆さんが日々の仕事で感じる同調圧力や組織の不条理の正体が、データと学術的視点から明らかになります。
「組織の論理」だけに飲み込まれず、個人が輝くためのヒントを一緒に探ってみませんか?

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