人事・組織制度的企業家、組織論、アントレプレナーシップ論、制度と企業行動の関係
半導体サプライチェーンのレジリエンスに対する制度的企業家の影響:日本におけるラピダスの事例
■原著論文名
The impact of institutional entrepreneurs on semiconductor supply chain resilience: the case of Rapidus in Japan
■著者名/所属機関
中川 功一 / やさしいビジネススクール学長
中村 文亮 / 同志社大学
石山 恒貴 / 法政大学
岸田 泰則 / 釧路公立大学
■掲載ジャーナル/学会/会議名
Asia Pacific Business Review
■発表日/公開日
Received 21 Feb 2025, Accepted 08 Sep 2025, Published online: 26 Sep 2025
■DOIやPDFへのアクセス(外部リンク)
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13602381.2025.2561152

サマリー
サプライチェーンの地政学的分断を「構造的な空隙(structural hole)」ととらえ、日本で再び最先端半導体の生産に取り組むラピダス小池氏を「制度的企業家」と捉えて、いかにその穴を埋めんとしたかを論じたものです。
結論、【サプライチェーンの頑健性(レジリエンス)には、政治力をも活用しうる、したたかな企業家の存在が欠かせない】。 兆円を動かしうる政治力学にも長けたアントレプレナーシップが、現代社会のインフラでありつつ、まさしくその政治によって不安定ともなる先端技術産業においては、業界安定化には必要なのだ。 それは、イーロン・マスクにも、孫正義にも通じる話だ。
現代産業の発展が要求する莫大な規模の金と知能の投入を、不安定な政治環境のもとで為そうと思えば、それはもう突出した才覚、さらに言えば内外の知名度を誇る企業家なしには困難な時代なのである。