人材育成論(池田めぐみ・東京大学)

講師プロフィール
東京大学社会科学研究所附属 社会調査・データアーカイブ研究センター 助教
2019年に東京大学大学院学際情報学府博士課程満期退学。博士(学際情報学)。東京大学大学院情報学環、特任研究員を経て2020年より現職。主な研究テーマは、職場のレジリエンス、若年労働者の職場での成長。
科目概要
ビジネスパーソンとしてキャリアを歩んでいく過程では、様々な学習が必要かと思います。まずは、一人前になるために、仕事のやり方を学ぶ必要があるかもしれません。新しい仕事をはじめた時には、学び直しをすることも大切です。また、自身のキャリア開発を行う上でも、個人のキャリアを取り巻く状況についての学習や、新たなスキルの獲得が欠かせません。あるいは、自分が上司になれば、部下の学びのサポートをする必要があるでしょう。「人材育成論」では、そんな仕事人生を歩んでいく上で切り離せない、「学び」の質を高める方法を扱います。
この科目でできるようになること
① 科学的根拠に基づき「人が成長するとはどういうことか」を体系的に理解・実践できる
人材育成論は文字通り、「人材育成を理論にしたもの」です。学ぶ仕組みや育成方法を知ることで、実践にすぐ活かすことができます。
たとえば、経験学習や観察学習など、知っておくと必ず役に立つものです。
② 自分がより良く学び、成長することができる(学び方を客観視できる)
人材育成論は人事や上司だけのものではありません。自分自身が、今、どういう学び方をしていて、どう成長する可能性があるのかを俯瞰して見られるようになります。
これから何を学ぶにしても、学修効果が高まること間違いなしでしょう。
③ 自分と周囲の人たち双方にとって豊かなキャリア構築ができる
キャリア中盤になると、マネジャーへの転換も見えてきます。その際に必要なスキル(部下育成、業務遂行、対外交渉、自己調整)を理解し、円滑な役割移行の準備ができます。
さらにミドルシニアでは、 昇進や成長が鈍化するキャリア・プラトー(停滞)の種類や時期を把握し、それらを乗り越えるための対策を立てられます。
ライブ講義
第1回 職場で一人前になる
仕事を通じて成長するとは、どういうことなのか。一人前になるとは、どういうことなのか。
長年、科学の対象とはされてこなかった「働いて、育つ」が、いよいよ、科学の領域となろうとしています。
この難問に取り組む第一人者で、大注目の新進気鋭の研究者が、本科目をご担当いただく池田めぐみ先生です!
第2回 ハードな経験を通じた成長
「仕事がつらい、きつい…」という体験、誰しもあると思います。
最近はブラック企業やブラック労働などと呼ばれることもあり、理不尽なつらさは排除されていく傾向にありますが、それでも真面目に働いていて、正しい条件・努力のなかでも「つらい、きつい」ことはあるはずです。
そんな体験は、個人に何をもたらしてくれるのか。仕事の「つらい」側面に明るい光をあてる大切な研究を通じて、成長を考えます!
第3回 成長し続けるためのアンラーニング
アンラーニング―「忘れる」とは、人間の成長にとって、非常に大きいインパクトを持つものであることが、次第に明らかになってきています。
私たちは、これまでの前提を捨て去り、根本的な部分で何がどう違っているのかをこそ理解しなければ、この変転し続けていく世界で活躍し続けることはできない。
どう前提を疑い、どうやってこれまでの成功体験を捨て去るのか。
健全な「忘れ方」の方法を学びましょう!
第4回 “今どき"のキャリアとレジリエンス
レジリエンス。しなやかな、心の強さ。働く中で人が育み、本当のところで、あなたのパフォーマンスを決定づけているもの。
働く人の心持ちも変わり、働き方も変わり、キャリアデザインも変わる中で、レジリエンスはどう高まっていくのか。そして積極的には、どう、高めていくのか。
働くことの本質を探る旅に、池田先生と一緒に出かけていきましょう!
オンデマンド講義
職場で人はどのように育つのか
人の成長の一般理論を知る

経験学習
経験の価値・効果を、どう高めるのか

観察学習
マネして学ぶ:よき行為の模倣とは、どのようなものか

他者とのインタラクションの中で学ぶ
他者との関わりあいが人の成長に与える影響

フォーマル学習: 研修の効果を最大化する
研修にも理論がある…組織として、個人としてできること

学習動機:「やる気」を高める
成功体験の科学

キャリア開発①:マネジャーとして成長する
マネジメントの力はどう育つのか

キャリア開発②:キャリア停滞を乗り越える
職場で人はどのように育つのか

※動画には受講生限定のメンバーエリアからアクセスできます。
ガイダンス|人材育成論はこんな科目です
はじめに
人材育成とは、企業が業績を向上させるために、従業員の成長を促すことをさします。かつては「放っておいても勝手に育つ」という時代もありましたが、現代の職場環境は大きく変化しました。
短期的な成果の追求: 失敗から学ぶ機会が減少しています。
年功序列の弱まり: どの年次で何を学ぶべきかが見えにくくなっています。
コミュニケーションの減少: テレワークの浸透をはじめとした理由から、上司の行動を観察したり、適切なフィードバックを受ける機会が不足してきています。
こうした背景から、今の時代は「意識的に育てること」が不可欠となっており、人材育成論は人事担当者だけでなく、部下を持つ人、そして自分自身の成長を願うすべての人に役立つ科目です。
人材育成論の全体像
人材育成論の全体像は以下の図のようになります。人材育成を理論化したものであり、これらを一つひとつ実践することで、個々人の豊かなキャリアと、組織の持続的な発展が望めます。

能力開発について
人材育成論における「能力開発」では、研修のようなフォーマル学習だけでなく、日々の業務の中での学び=インフォーマル学習にも光を当てています。
たとえば、このような考え方があります。
- 「7:2:1」の法則: 職場での学習の源泉は、7割が「業務経験から」、2割が「他者から」、1割が「研修から」であると言われています。
- 経験学習モデル: チャレンジングな経験を「振り返り」、自分なりの「教訓(持論)」を得て、次の行動に活かすサイクル(経験学習モデル)があります。
- 他者からの支援: 自分一人でできることと、助けがあればできることの境界線である発達の最近接領域(ZPD)を見極め、適切なサポートやフィードバックを行う手法を理解します。
- やる気の科学: 失敗の原因をどこに求めるかという帰属理論や、「やればできる」という自信である「自己効力感」を高める方法を学び、学習動機をコントロールします
これらのインフォーマル学習をうまく活用できるか否かが、人材育成の成否の分かれ目とも言えます。
キャリア開発について
さらに、長期的な視点での成長を支える「キャリア開発」も重要なテーマです。
たとえば、このような場面でヒントになることが多くあります。
- マネジャーへの転換: 自分の業績を追う「個人競技」から、他者を通じて成果を出す「団体戦」への役割移行のタイミングがあります。
それに必要な4領域のスキル(部下育成、業務遂行、対外交渉、自己調整)を習得することができます。 - キャリア・プラトー(停滞)の克服: 昇進や成長が鈍化する、キャリア・プラトーや、キャリアを当てもなくさまよう、キャリア・ドリフトの時期と種類を理解します。
- 自律的な成長: 仕事の捉え方を自らリデザインするジョブ・クラフティングや、副業・社外勉強会といったネットワークの活用を通じて、主体的にキャリアを切り開く手法を探究しています。
人材育成論のまとめ
改めて、人材育成論とは、人材育成の理論。
人が育つというプロセスの側にある複雑なメカニズムを解き明かし、確かな手応えを持って、自分自身や他者の成長を支援できるようになることを目指していくことです。
さらなるアウトプットをしたい方へ
アドバンスドなチャレンジをしたい方向けに、会員限定でアドバンスト問題を用意しています。
やさしいビジネススクールからフィードバックいたしますので、ぜひ挑戦してみてください。
その他の連絡事項
池田めぐみ先生のプロフィール
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